話し言葉で読める「西郷南洲翁遺訓」 無事は有事のごとく、有事は無事のごとく■時間は逆には進みません おとなりの職場の友人が、「西郷さん、いいよ」と貸してくれた本を読みました。「西郷南洲翁」というのは、西郷隆盛のこと。オリジナル本は、征韓論で敗れて、鹿児島に戻った後、西南戦争にいたるまでの間に、西郷に教えを乞いに通った元庄内藩士たちが、まとめた遺訓集です。 リーダーシップ論やマネジメント論として読めるよ、と聞いたとおり、面白く読めました。西郷さんは「人の徳や人の道は、2000年昔から変わらないものだ」という言葉を繰り返しています。たしかに、100年前の西郷さんの言葉が現代でも通用するのは、本質的なことは何も変わらない証なんでしょう。 この本の中で、感じ入った言葉を紹介します。時間は逆には進みません。いったん犯してしまった過ちは、もう元には戻らぬものです。過ちを犯した罪は、決して消えぬ。それを忘れることは許されません。しかるに、現実においては、その過ちの事実に拘って立ち往生していても何にもならないのです。過ってしまった事実はそのままにしておくしかない。振り向くことなく、新たに一歩を踏み出すしかないのです。人にはそれしかできぬです。未来を全て失わぬためには。 明治維新で自分が生み出した犠牲や明治政府への幻滅など万感の思いを込めて語っていることを思うと、いっそう胸に迫るものがあります。「未来を全て失わぬために」── 西郷さんの最期にいたる西南戦争までの過程を描ききった『翔ぶが如く』を思い出してみると、ますます感慨深いものがあります。翔ぶが如く〈1〉 思いどおりに行かないのが標準です。自分なりに、精一杯、前に一歩を進もうとあがいていこうっと。 今日はどんな「いいこと」が待っているかな? それでは、いってきます!