先日、ある小学校に学校コンサルテーション事業で参りました。
これは、発達障害のあるお子さんが、学校での適応が非常に困難であることから、ある支援機関が介入する形で、学校コンサルテーション事業として学校との連携を実現することが目標となっていたケースです。
これには、実はいろいろないきさつがあり、私も個別に診療の場で、ご家族からの依頼もあり、学校に医療とのミーティング或いは校内研修の場を持っていただけないかと申し入れていたことが過去にありながら、学校がそれに応じて下さらなかったという経過もあった、何と言いましょうか、因縁のケースだったわけですが…。
これまでにも学校コンサルテーションや巡回指導は経験しておりますので、校長・教頭・特別支援級担任・交流級担任・養護教諭・学年担当の先生などが集ってのミーティングを想定して、資料も印刷して用意して行ったのですが・・・
何とテーブルについたのは、特別支援学級の担当の先生2名だけ。校長は出席をキャンセル。
支援機関の担当者の方たちも、この日のために、骨を折って準備を整えていらしたことは知っていましたが、5名もの人数でうかがって、学校からの出席が2名だけというのは、一体?
特別支援級の先生方は校内で孤立しているのか?
学校全体の支援体制は?
他の先生方の特別支援教育への理解はあるのか?
管理職の意識は?
さまざまなことを考えさせられたコンサルテーションでした。
一生懸命何とかしたいという思いを抱えた者の思いだけが、空回りしたような残念さです。
私は、これまでにも理解のない学校や教育者には数多く出会ってきましたから、驚くこともありませんが、一番かわいそうなのは、当事者のお子さんです。
さて、これからまたどうやってこのお子さんとご家族を支えていくべきか?いろいろと考えながら診療室に帰ったことでした。
診療室に戻ってみると、学校からの郵便物とメールが届いていました。
それはどちらも、来月以降に校内研修でうかがう予定の学校からのものでした。
一つの学校は、すべての先生方に事前に研修で聞きたい内容のアンケートをとって下さり、リクエストを送って下さったもの。
もう一つの学校からは、校内研修に先立ち、気になるお子さんのいる学級の授業観察をしてほしい、そして支援の仕方を助言してもらえないか、という要望でした。
ぜひ校内研修に来てほしい、困っているので相談したい、という学校の熱意が伝わってきますね。
以前は、学校の壁は厚くて、現場で困っている先生も外に向かって「困っているので助けてほしい」「専門家の意見をききたい」と声をあげること自体、とても難しい時代もあったと思います。しかし、連携を進める中で、お互いに情報を共有し、相互に意見を交換し、よりよい指導・支援をやっていきましょうよ、という流れがあたりまえになりつつあると実感できることも増えてきました。
一つ一つの連携の積み重ねだなあ~としみじみ思うことがあります。
そうした流れの中で、まだまだ管理職の意識や、学校全体の意識が、厚い厚い壁の向こうにあって、こちらの思いが届かない関係もあるのも事実。
ドンマイ ドンマイ!ガンバロウ。