笑っていてくれればいいな

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Nice!

ふと、思い出した。のび太が3,4歳くらいの頃、友人Yちゃんの家の近くにのび太より1歳上の男の子Aくんがいた。のび太も発達相談にあちこち通っては「しばらく様子を見て」と言われ続けていた頃。Yちゃんいわく、「のび太とやることなすこと、そっくりでね~ かわいいんだよね~」と言っていた。字も書けてひとりで思いついたことを独り言のように喋り、でも、他のお友達がしている遊びに興味があるわけでもなく、フラフラとその辺をさ迷いつつ、何かをブツブツ言いながら歩いている。かと思うと、突然、大号泣して手が付けられなくなる。手当たり次第に物を投げ、近くにいた子の目にスコップが当たり流血騒ぎになり、あと数ミリずれていたら失明したかもしれなかったこともあるらしい。幼稚園でも行事に参加できなかったらしい。Yちゃんは娘のMちゃんを毎日のように不思議幼児ののび太と遊ばせてくれてたし、元々、ヘンな色眼鏡で人を見たりしないフラットな人なのでAくんのことも、かわいいよ、のび太と似てるよ、と、愛情込めて見ていたのだが、他の周りの人たちはそうは行かなかった。Aくん、いつも独り言を言ってヘンな子、急に何かに取りつかれた様に暴れて怖い、他の子と遊ばないなんておかしい・・・そんな陰口を言われていたらしかった。次第にAくんもAくんのお母さんも外に出なくなっていった。時々、Aくんの家からお母さんの罵声とA君の騒ぎ声がしたり、物が壊れる音が頻繁に聞こえるようになっていった。しばらくして、父方のおばあちゃんが車で2時間かかるところからAくんの家に来るようになった。次第には、泊り込むようになった。どうやらAくんのお母さんは入院してしまったらしい。それも精神科に。どうしてもAくんを受け入れることが出来なくなり、次第にAくんに手を上げるようになったりかと思えば、Aくんを抱きしめたまま離さず、それに抵抗してAくんがお母さんの腕に噛み付いても離さず、腕に食いちぎられたかのような痕をたくさん付けていたらしい。連絡が付かなくなって心配して訪れたおばあちゃんも、家の惨状に腰を抜かしたらしい。お父さんは・・・?お父さんは家に帰らなくなって、他の女の人と子供まで作って生活していたらしい。おばあちゃんが来て、幼稚園の先生と相談して、のび太が通っていた療育に通うようになり、アスペルガーの診断を受けた。療育を受けだして、意思疎通が出来るようになって、少しずつ、パニックも収まり、落ち着いてきた。時々、Aくんは「お母さん」と思い出すらしいが、「お母さん、怖い」と言うらしかった。その後、小学校に入ったものの、お母さんはとてもじゃないけどAくんを育てられる状態にはなく、お父さんももう帰ってこない。自分の息子と縁を切り、おばあちゃんはここから2時間かかる自分の家にAくんを引き取り、今はそちらで暮らしている。とても、お母さんを責められない。お母さんが精神に異常をきたしてしまったのはAくんのせいじゃない。Aくんとお母さんを追い詰めてしまう私たちの目と、Aくんを受け入れてあげられない世間の心の狭さが悲しい。のび太と同じような症状だったAくん。のび太とAくんの違いはなんだろう。私にはのび太の不思議さを受け入れてくれて毎日遊んで、「のび太、面白いじゃん!ナイスキャラ!」と、言って認めてくれるママ友達が数人いたことが何より大きい。そうでなければ、私もAくんとAくんのお母さんのようになっていたかもしれない。実の母親に「あなたの育て方が間違っているから」と言われ、幼稚園の園長に「昔はこういう子は『たたられた』と言われたんだから」などと言われ、スーパーに行けば見知らぬ人に「あら、お母さん、ちゃんと躾なさい」と叱られ・・・おそらくAくんのお母さんだって同じように言葉の刃や刺すような視線で傷ついてきたのだろう。そんな時、周りで認めてくれる人がいれば・・・Aくんやのび太のような子たちが幼稚園や学校や社会で認められてどんどん外に出て行くことがこれから先、発達障害の子のサンプル的な役割として大切なことのひとつじゃないかと思ったりする。少数派で個性豊かで感受性の強いこの子たちが笑顔でいられるようにそしてその親達がAくんのお母さんのように自分を責めて心壊したりさせない大らかな社会であって欲しい・・・Aくん、元気かな?笑っていてくれればいいな。~~~~~お知らせ~~~~~みなさま、とても考えさせられるコメントをたくさん頂き、ありがとうございます。重く深いコメントを読ませていただき、とても携帯から簡単にお返事出来ません。じっくり読んで考えて、週明けにきちんとお返事致します。まだまだコメントは受け付けております。つらいことをここでよかったら吐き出して行って下さいね。