ジロ・デ・イタリアにはまっているが、サイクルロードレース好きになったのだかイタリア好きになったのだかよくわからない。深夜に放送されるのをケーブルテレビの機械が適当に録画しておいてくれるので、ぼちぼちと観ている。息抜きにはとてもよい。風景はいいし、選手もそれほど苦しそうな顔をしないし。苦しそうな顔をしないといっても、タイムトライアルでもないかぎり1日で150km以上は走る。第11ステージは決して平坦ではないコースで全長190kmあまりだった。最終的に3人で先頭を競うことになったのだが、その2位につけていた選手がゴール手前800mくらいのカーブで落車した。どうやら石畳の敷石がゆるんでいて後輪を引っかけたらしい。3位の選手も目の前で転倒されたのでいっしゅん足止めされ、1位の選手がそのまま逃げ切った。1位の選手のゴール前の感極まった表情が繰り返し放送された。一生に一回でもこういう顔をする経験ができたらそれで人生は成功だと思えた。いい顔だった。36歳だったか38歳だったか、けっして若手とは言えない選手だった。過去の戦績も画面に映ったが、その項目が1997年と2004年だったか。長いことやってきてはいるが目立った個人成績のほとんどない選手のようだった。それでもこうやって大きな大会のメンバーに選ばれて居るんだから、チームの裏方として表に出ないところでずいぶん大きな働きをしてきた選手なんだろうと思った。スポーツに人生訓を読むのは野暮な行動だとは思うのだが、そういう選手が引退間近に(さすがに40過ぎては無理なんじゃないかな)こういう花を咲かせるっていいよねと思う。