アスペルガー児の療育について考える(8)

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Nice!

  <アスペルガー児の療育について考える シリーズ>
  前回までの記事はこちら
  第1回 第2回 第3回 第4回 第5回
  第6回 第7回 

いくら偏屈な著者でも多少は反響を気にする。
拍手がちらほら増えるのにコメントがあまりない不思議を感じるわけだ。
(と、コメントを暗に要請してみよう…ん、これじゃ暗にじゃないか…)

<思春期から青年期の療育>

仮にそれまでの療育が比較的うまくいっていたにせよ、課題はまだまだある。
とりあえず思いつく主なものを挙げると次のようなところだ。

1二次障害の防止

2一般常識の再確認

3適切な自己表現技術の習得

4自分の特徴をしっかりと知ること

まだまだあるかもしれない。

1は最重要課題だろう。特に周囲との関係からも二次障害を起こしやすい年齢である。
周囲との関係調整の手段(ソーシャルスキル)を教えるほか、適切な医療やカウンセリングなどの手段を利用して、徹底的に防止すべきである。

ちなみに、私は、ソーシャルスキルを教える年齢として、思春期がもっとも適当なのではないかと感じている。学童期には定型発達者との差異を理解するのが困難であったりする上に、本人の環境による混乱が強いためである。このため、学童期に教えるのは必要最低限の(つまり人に迷惑をかけない最低限の)ソーシャルスキルだけにして、それ以上のものは定型発達者との差違の理解ができる年齢になってからの方が、自閉者の精神には優しいのではないかと思う。

2は意外かもしれないが、結構重要だと私は思う。

意外なことに抜け落ちがあるものである。「言われたからやっている」的なものを「主体的にできる」ようにしていく必要がある。面倒なことではあるが、それにはいちいち理屈立てた説明が必要になってくる。

例えば、いわゆるホウレンソウ:報告・連絡・相談であるが、これができていない場合が多いのではないかということだ。なぜ必要なのか、意外にわかっていない可能性は高いと思う。

(実は息子がそうだった。「連絡」をなぜしなければいけないのかまるでわかっていなかった。で、このあいだとっくり話し合ったもんね…ってだけじゃないんですけどね…ま、そのへんはまたうまく説明できるようになってから)

3は社会に出て行く上でとりわけ重要である。
が、アスペルガー児にとっては自然には身につきにくいものである。アサーティブトレーニング(※末尾に説明)などを通して身につけていく必要があるだろう。

(とはいえ、一般のアサーティブトレーニングがそのまま流用できるかと言えば、ちょっと怪しい。やはりこれもアスペルガー者向けにアレンジする必要があるだろう、多分アサーティブ以前の問題で詰まっている例は多いだろうから)

4自分の脳みその苦手や得意を意識化して、しっかり利用or自分にフィードバックできるようにしておかないと、何かとストレスが増えてしまう。ひいては二次障害の原因ともなりやすいものなので是非とも押さえておかなくてはならないだろう。

さて、うちはちょうど息子がこの年代だが、まあ、課題は山積しているといった印象をぬぐえない。が、年齢も年齢である。小学生時代と違って親の多すぎる介入は本人の反発も招きやすい。

反発があるのは成長の証拠とばかりも喜んでいられないくらい課題があるので、この年代、家族によるものだけでなく、適切な第三者による介入があることがより望ましいのではないかと思う。

そういった意味で服薬などの医療の他に、自助活動でのピア・カウンセリング、医療機関によるグループワーク、ソーシャルスキルの講習などがあれば利用価値は大きいものと思う。

【用語解説】アサーティブトレーニング
アサーティブネストレーニング、アサーショントレーニングとも。攻撃的でもなく、受動的(非主張的)でもない「適切な自己主張」(アサーション)の仕方を学ぶトレーニング。アメリカで発祥。

<つづく>


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