アスペルガー児の療育について考える
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<幼児期の療育の必要性を考える その2>
話を幼児期の療育に一旦絞ることにする。
現状の、特に幼児期の療育の内容に関しては、こと生活面の改善に絞られたものが殆どであるようだ。
さて、アスペルガー児の療育を親が考えるのはどういうときだろう?
1生活面で困ったことがあり、それを改善したいと思った場合。
2児の将来に関する不安を感じ、それを解消したいと思った場合。
大きく分けてこの2つに分類できるだろう。
1は切実である。今、その時の現実問題、自閉特有のこだわり行動のために親や周囲が振り回されることは十分にあり得るし、コミュニケーションのとれなさに親が参ってしまうこともあるだろう。衝動性の強い子の場合は、他害・自傷といった早急に解決すべき問題もあるかもしれない。
2も少なくないだろう。アスペルガー、高機能自閉症に関する本を読むと、確実に療育の話がペアでくっついてくる。そうなると、療育を受けないことだけでも何となく不安になってしまうものだ。
また「障害」と思えばなんらかの将来的な不安を感じる親が多いだろうことは予想に難くない。特に就学時にどうなるかというのは、不安の大きい部分を占めるだろう。
まあ、実際は、1と2が入り交じっていることが多いと思う。
さて、幼児期の療育に関して、現状では生活の構造化を目標にされることが多い。あとは就学時の集団適応を目標にしている場合も多い。
もうちょっとかみ砕くと
「かんたんにはパニックを起こさず」
「がまんすべきところはがまんでき」
「人の話をある程度きくことができる」
ようにすることが目標となっていることが多いようである。
親が療育を考えるときのニーズに適合していなくはないだろうが、特に前述の2にかんしては非常に弱い面があるのは否めない。
超高額のセラピスト費用を負担できる大金持ち以外では、週に1回〜2回の療育をうけるのが精一杯である。
そして、週1〜2回の療育で何ができるかと考えた場合、目標を絞らざるを得ないのは言うまでもない。
当然、療育に通ったからと言ってそれだけでは期待することから比したら効果がそこそこなのは言うまでもないことであって、それをどうこう言えるものではないのである。
しかし、基本的にアスペルガー児の療育は必要であると私は考えるのだ。
次回はその理由について書くことにする。
<つづく>