パニックへの対処法としてよく提案される「無視する」という反応ですが、ただ無視しても、多くの場合、子どもはより激しいパニックを続けてしまうでしょう。そして、無視しきれなくなって、「ときどきパニックに応えてしまう」という反応をしたとき、それは行動療法的には「無視(=消去)」ではなく、「部分強化」と呼ばれます。「部分消去」ではなく、「部分強化」です。「無視、ときどき構う」というのは、無視(消去)の一種ではなく、強化(ごほうびを与えて行動を起こりやすくする)の一種なのです。つまり、パニックに対して「無視、ときどき構う」という働きかけを行なうと、パニックはむしろ強化されてよく起こるようになります。それどころか、この「部分強化」というのは、他のあらゆる強化方法のなかでも最もその行動が強固に定着してしまう強化方法なのです。