パニックを考える(4)

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Nice!

今回からいよいよ「パニックへの対処法」について考えていきたいと思いますが、その前に、本シリーズ記事を書き始めて以降、コメント欄での議論等で話題になった、パニックが起こる原因のもう1つの側面について簡単に触れておきたいと思います。自閉症児は環境とのかかわり=相互作用が年齢相応に発達してこないため、環境を安定的に知覚したり、先の見通しを立てたりすることが苦手です。そういった知覚や認知が、この世界を生きていくための「安心感」の源になっているはずですから、そういった能力が発達しにくい自閉症児は、健常児よりも混乱状態に陥りやすく、それがパニックにつながっていくということも十分に考えられます。つまり、もともとパニック状態になりやすい、不安定でストレスフルな状態にあるうえに、欲求や混乱が高じたときの表現方法が極めて貧弱である(だから、なおさら欲求も実現できないし、混乱にも対処できない)ために、「パニックばかり起こす」という状況に追い込まれている、と考えられるわけです。(自閉症児は怖い記憶をよく覚えていて、それを思い出してパニックになる、といったケースなど、他にもいろいろ考えられますが、あまり「内面」に入っていくと効果的な働きかけにつながりにくくなってきますので、まずはシンプルに考えていこうと思います。)このような理解をふまえて、ここからは、パニックへの対処法を、類型化したうえで順に検討していきたいと思います。(なお、繰り返しになりますが、ここで扱おうとしている「パニック」は、脳の疾患等が背後にあると想定される病的なもの以外のものを想定しています。ご承知おきください。)3.パニックは抑えればいい?