微妙にスランプ

28
Nice!

午前中は病棟・処置担当で外来や病棟をあちこち動いては採血や点滴をする。いかにも雑用ではある。スーパーローテート研修医が入力した採血を何で俺がやらにゃあならんのと憮然とすることもある。私を温厚な人間だと思う人があったら全く間違いなのである。しかし度胸なしでもあるから、その研修医を呼び出すこともなく、諾々と処置に歩く。

今日はちょっと調子が悪かった。いちおう成功はするんだけれど、なんとなく「芯」に当たらないというか。今さら駆け出しみたいに針を何本もつかうような悲惨な状況にはならなかったのだけれども、何か変だった。何だったのか。

たぶん昔ならそういう変調も気にもとめなかったと思う。そう言う意味では成長したんだよと誇示してみる。誇示しながらも何とはなく不安ではある。こういう日には超未熟児は産まれてほしくないものだと思った。

一般小児科の子供たちには悪いが、この雑用的処置当番はこういうトレーニングや調整の場でもあると思っている。打撃投手が投げる球を黙々と打ち込んで試合に備える打者に自分を擬してみる、みたいな。親御さんには処置に立ち会っていただいている。親御さんの目があると緊張は増すんだけれど、超未熟児相手の、この一本で決めないとこの子が一歩死に近づくというときの緊張よりはマシなような気がする。そうして指先と胆力を錬る。