年に数度、とても心のコンデションが悪くなる時があります。 もうこれは、今に始まった事ではなく、子供の頃からずっと・・・ 特に梅雨から夏の台風シーズン・・・秋の台風、秋雨シーズンは、低気圧と連動して、コンデションが悪くなるのにつれて、学校での行事に参加が重なると、かなり辛い状況になります。 これを、どう説明すれば伝わるかはよくわかりません。 ただ、多くの人は低気圧で、心のコンデションは悪くならないという事でしょう。 昨年の学校での付き添いでは、本当に驚く事と確信することにいくつも出会いましたが、特に、この低気圧の問題では、同じ様なことを感じている子達に会えたのは、本当に驚きでした。 KEYが、同じ様に天気による、コンデションの低下やパニックを起こしやすくなる事は、経験上よく解っていましたが、これは親子だからかなと漠然と思っていました。 と言っても、お天気の予知能力のような、優れたものではないようで、とにかく音に普段以上に過敏になりやすかったり、一日過ごすと、全エネルギーを全て使い切っているのに、まだそれを強いられる感じでしょうか? さながら、カラータイマーの赤い色が点滅しているのに、闘わないとならないウルトラマンの様です。 それも、私の場合は一日や二日で終わるものではなくて、天気の崩れる何日も前や何週間か前からそうなるので、その間は、ずっとそれを引き摺らなければならないのは、平穏になるべく過ごす努力も必要となります。 この時期は、フラッシュバックもちょっとした事から起こり、かなりしんどい状態ですが、家事や育児は待ってくれないので、正直にMIEにはSOSを出すこともあります。 フラッシュバックに付いても、経験の無い人にはわかりづらいものでしょうが、過去の『大きな失敗体験』が、ヴィジョンとして頭の中を駆け巡ると言うのが、一番近いでしょうか・・・でも、上手く説明は出来ません。 最近、色々な講習会や勉強会に出かけると、必ず、『失敗体験をさせない様にするのは、どうしたらいいでしょうか?お膳立てをしたり、レールを引けという事でしょうか?』と言う質問を聞きます。 失敗体験も経験している私としては、ちょっと違和感を感じる事は確かです。 失敗体験をさせない様にというのは、心の傷になるような無理な体験をさせないという事でしょうし、将来、フラッシュバックや二次障害に繋がらないような体験をさせましょうという事だと思います。 子供が生きて行く上で、失敗体験をさせないことなんて、どの位可能なのでしょうか? 例えば、有害図書が子供ためにならないから、その子が生きる一生の上で、どこもかしこも、先回りしてそれを排除して行く事はとても不可能だと感じます。 こう書くと、あなたは失敗体験をさせて、パニックを誘発していると勘違いされる事もありますが、そうではなくて・・・ 以前、KEYの主治医にアドバイスされた言葉の中の一つに、『歩き始めの赤ちゃんが、つかまり立ちをしようとして尻餅をつく時に、可哀相だと言って歩かせない親がいるだろうか?そうではなくて、歩けるようになると信じて見守るでしょう』と言うのがあります。 お子さんのタイプによっては、親の敷いたレールをすんなり歩く子もいるでしょう。でも、KEYの様に、ことごとく親の敷いたレールは無視して、そこから学ぶ子にとっては、お膳立ては『苦』以外の何物でもなくなってしまいます。 失敗をしなければ、自分が何が悪かったのか学ぶ事は出来ないし、どうしたら出来るようになるのかという事も考えなくなってしまいます。 問題は、親が成功に繋がる失敗を見つけてやれるかと言うことだと思っています。 本に書かれていたり、最近よく言われる失敗体験をさせてはいけないというのは、失敗に繋がる失敗だと思うのです。 私の兄は、カナータイプの自閉症者で、ずっと親の敷いたレールを歩んできました。 家庭の事情から、母が子供達と接する事がなくなったときに、次に兄は、叔父たちの敷いたレールを歩みました。 でも、その後、30歳を過ぎた頃でしょうか、アイデンティティの目覚めた兄は、人が敷いて来たレールに異常なほどの拒否反応を起こしました。 アイデンティティ・・・思春期の頃に芽生える、自分と人とは違うという心の芽生えが、30歳を過ぎてやってきたのです。 周囲の人の誰しもが、知的障害のある兄が、その様な心の成長をするとは考えていなかったようです。 そういう兄を見てきた私にとって、レールを敷いてあげたり、お膳立てをしてあげることに、子供の成長を見出すのはとても難しいと感じます。 定型発達の子が、15歳くらいで迎える思春期を、30歳を過ぎて迎えた兄の様に、もし心の成長が遅々としたものだったら、親がいつもいつもレールを敷き続けてあげることは不可能ではないだろうか。 それよりは、成功に繋がる小さな失敗体験をいくつもいくつも、積み重ねる方がとても大事で、それは、さながら、歩けるように何度も尻餅をつくのと同じだと思うのです。 その為には、この子の今だったら、何が必要なのか、なんだったら出来そうなのか・・・尚且つ、それをどう支援者に伝えるのかがとても大事だと思っています。 私自身のフラッシュバックは、掃除機で頭の中をザッと吸ってしまうような訳にはいきません。 でも、少なくともKEYの将来で必要以上のフラッシュバックや二次障害を起こさない為の役には立つんじゃないかなとは、思っています。 また、心のコンデション低下も同様に、無駄ではないと思えたらいいのだけれど・・・