さまざまな事情により、このままでは長女が特別支援学校の高等部に進学しても通学が極めて困難になってしまうという問題が生じたため、我が家では家族全員で(といっても事実上は私と妻の2人ですが)解決策を模索することになりました。そのなかで、具体的に考えついたアイデアは、たとえば以下のようなものでした。1)現状維持。いまの自宅に居を構えたまま、なんとか越境入学できるように頑張るが、それができなければ学区指定の高校に送迎する。2)学区で指定された高校の近くに賃貸住宅を借りて3年間だけそちらに住む(家族全員)3)学区で指定された高校の近くに賃貸住宅を借りて3年間だけそちらに住む(母子のみ、土日は自宅に戻ってくる)4)隣の市区に賃貸住宅を借りて学区を移し、3年間だけそちらに住む(家族全員)5)隣の市区に賃貸住宅を借りて学区を移し、3年間だけそちらに住む(母子のみ、土日は自宅に戻ってくる)6)市区が変わる郊外に賃貸住宅を借りて学区を移し、3年間だけそちらに住む(家族全員)7)市区が変わる郊外に賃貸住宅を借りて学区を移し、3年間だけそちらに住む(母子のみ、土日は自宅に戻ってくる)8)市区が変わる郊外に家を購入し(または賃貸で借りて)、自宅を売却してそちらに引っ越す。他にもいろいろ考えましたが、それなりに現実的に検討できるものとしては、概ね上記のようなものに収まりました。ここで、それぞれの選択肢を比較するためのポイントは、以下のようなものでした。①コスト 長女が高校にいる3年間にかかるコストがどの程度かかるか。不動産がからむため、選択肢によっては数千万円単位のコストがかかりうるので、これは検討にあたってのかなり大きなポイントになります。 家族全員で引っ越す場合、現在の自宅を貸し出して収益を得るチャンスもなくはないですが、戸建ての賃貸というのは流通市場が極めて弱いのでカウントしないことにしました。(家を賃貸に出す場合、引越し先に入り切らない荷物をレンタル倉庫に預けることにもなり、さらにコストが膨らむという問題もありました。) 家族が別居する選択肢の場合、マイカーをもう一台買うコストと維持費も必要でしょう。②長女の通学(親の送迎)の利便性 長女を高校に送迎する利便性が高いかどうか。大きなコストをかけて、結局ラッシュアワーの電車に1時間乗らなければならないような選択肢を選ぶ必然性はありません。③卒業後の進路 長女の障害の重さからいって、卒業後は福祉関連の施設に通うという進路になる可能性が高いでしょう。長女の進路を卒業までに確保しやすいかどうかは、実は「最大の重要ポイント」と言えるかもしれません。 そういった情報の多くは学校で手に入るでしょうから、「学校の所在地」と「卒業後の住所」が違うことは、実は大きなハンデになります。④次女の幼稚園 長女の高校だけでなく、次女を幼稚園に預けやすいかどうかも検討すべき要素の1つです。子どもは熱を出したりもしますから、「妻が住む場所」と幼稚園は近くないとまずいでしょう。⑤家族のつながりとバックアップ体制 選択肢の中には家族が離れ離れになるものもありますが、これは家族のつながりが弱まるだけでなく、家族の誰かが病気になったとき等のバックアップ体制も脆弱になるという問題があります。⑥妻の実家からのサポートの受けやすさ 妻の両親もだいぶ高齢になってきましたが、今でも何か外せない用があるときに長女を預かって留守番をお願いするなど、多大なサポートを受けています。 引っ越しを伴う選択肢の場合、このサポートが今後も受けやすいか(妻の両親から見ると、負担なく来られるか)というのもポイントになります。⑦住居の防音性能 長女はときどきパニックを起こし、大声で泣いたり地団駄を踏んで大きな音を出したりします。 これを完全に防ぐことは不可能なので、そういった事態になったとき、共同住宅の2階より上や壁の薄い木造アパートなどは選びにくいです。⑧その他 私の通勤の便、休日にセカンドハウスに遊びに行きやすいか(中央道へのアクセス)といったことも、同時に考慮の対象としました。