あれからチクチクするネックウォーマーを着けるのを止め、工業用ウエスを首に巻いて作業。十分暖かいし、ウエスだけならあまり目立たない。実は作業場に足元用の電気ストーブはある。しかし私は、「寒いからストーブを使わせてください」が言えない。私は常に周囲から「お前なんかに」と言われて生きてきた。窮した状態で周囲に助けを求めては「誰がお前なんかに」と、逆に状況が悪化するのが常だった。助けを求めて手を伸ばせば、下手すれば相手に振り払われるだけでは済まない。周囲を刺激して多数から暴行を受ける事は何度もあった。インドのカースト制度のようなものが日本にもあったら、きっと私は一番下の身分だろう。望んではいけない。諦めるしかない。耐え続けねばいけない。問題があれば全て自力で解決しなければいけない。だから、常に考える。どうすれば良いのかを考える。状況を観察して分析して、考える。過去の経験や知識の全てを使って、考える。人を頼る事が招く事態への恐怖。自力で問題を打開する事以外、私には対策が、ない。...