ここで泣いたらいけない

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Nice!

母の入所先をさがして
老健施設(リハビリ施設)を三件まわりました。

どこの施設も、おじいちゃんおばあちゃんたちが
たくさんいるわけで。
見学にお邪魔すると
何人かの方はこちらを見て
注目の的になります。
そりゃそうだ

私が見学するのは認知棟。

昨日行ったところでは、
しっかりした感じの初老のおばあちゃんが、
施設が旅館だと思っているらしく

ご自分のお部屋を確認して
「予約できているかしら?」
「今日はここに泊まるのね!」
と何回も何回も
確認していました。

多い日は
何十回も確認するそうです。

きっと
かつては
いろいろなところに旅行に行って
楽しまれていたんだろうな。

でも
「もーろくしちゃって何回も聞かないと忘れちゃうのよ!」
と言う笑顔に救われました。

介助する人達の苦労はいかばかりかと思います。

そういえば以前
母が骨折して通院したとき。

整形外科には
たくさんのお年寄りが車椅子で診察を待っていました。

多くは介護施設の人の付き添いで来院しているのでしょう。
病院とは別の白衣を着て
胸に「〇〇苑」などの名札をつけた人が一緒に待っています。

私と母の前で待っていたおばあちゃんに
施設の職員の若いお兄さんがそっと寄り添っていて、
おばあちゃんのしわしわの手をじっと見ています。

そしてたまらず(という感じで)そっとさわって
にっこりとしました。

この人は小さい頃に自分のおじいちゃんおばあちゃんに
とってもかわいがってもらったのかなぁ・・・
または最近どなたか亡くされたのか・・・

愛おしさがあふれていました。

おばあちゃんはちょっとはずかしそうに
「こんなおばあちゃんの手、しわしわでしょう」
と。
かわいらしいおばあちゃんでした。

たまに
はりつめているものが
切れそうになって
あぶないあぶない
という場面に出くわしてしまいます。

今日見学した老健で
基本4人部屋だけれど
状態によって
個室にうつってもらう方もいるということで
個室を小窓から見学したら

歩けないけれど、ずって動けるという認知症のおばあちゃんが
部屋の真ん中に二畳くらいの畳を敷いてある
八畳もあろうという個室の隅で
一生懸命
毛布のようなものを
本当に一生懸命まさぐって
感触遊びのような
確認作業のようなことをしているのです。

目が見えないということでした。

日がな一日
こうしているかもしれません。

壁にはぶつかってできた穴がありました。
以前歩けていたときは
危ないので
部屋一面にクッション材をつけていたそうです。

施設の人も「かわいそうに・・・」とつぶやいていました。

胸をぐっとつかまれたように
自分でも気づいていなかったせつなさが押し寄せてくる。

ツヨのこともダブってしまうのか。

でも
ここで泣いたらきっと止まらなくなる。

はりつめているものが
切れないように
そーっとそーっと

胸の奥の引き出しにしまいました。

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