自閉症とオキシトシン

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Nice!

English Version

昨日の朝、TVをつけたとたん・・・NHKニュースで「自閉症とオキシトシン」のニュースが出ていました。とっさに「メモ」して、ネット上にある情報を検索していました。
サンタさんからのクリスマス・プレゼント? いいニュースだと思いました。

情報は もっと沢山あったのですが、
今朝になって・・アドレスを保存していなかった事に気づき・・ああ〜〜といった気持ちです。今朝になったら、このニュース記事で検索がいっぱいになっていました。
今日のブログは とても長い記事になっています。途中で 〜続きを読む〜 にしないのは、海外に住む皆さんが記事を読むときに不便ので、長いままの掲載にしています。

かなり以前に、米国のママ友から この情報を得ていたのですが、主治医の栗田先生から 日本では販売されていない薬であること+日本での臨床報告がまだであること また、まこちゃんへの効果はどうか?がまだわかない・・などの事で 足踏み状態でした。
来月、主治医の栗田先生の診療があるので、相談してみようと思っています。
(栗田廣先生 東京大学名誉教授。社会福祉法人全国心身障害児福祉財団・全国療育相談センター長。精神科治療学編集顧問)

自閉症の対人障害、ホルモン投与で改善 東大チームが解明
2013.12.19 08:29
 表情や声色から相手の気持ちを読み取るのが困難という対人コミュニケーション障害が特徴の「自閉症スペクトラム障害」を特定のホルモン投与で改善できることを東京大のチームが臨床実験で解明、18日付の米医学誌電子版に発表した。

 自閉症スペクトラム障害は重度の知的障害を伴うタイプの自閉症からほぼ正常な人まで幅広くみられる発達障害で、英、米両国では発見の割合がここ35年で60倍以上に増加している。チームの山末英典東大准教授は「治療が可能になるかもしれない」と話した。

 ホルモンは脳から分泌される「オキシトシン」。チームは、自閉症スペクトラム障害の成人男性40人に、オキシトシンをスプレーで鼻に1回噴霧。人が話す様子を撮影したビデオを見てもらった。ビデオの人は笑顔で嫌な言葉を発したり、嫌な表情で好意的なことを言ったりするなど、表情と言葉が正反対だったが、オキシトシンを投与した人は、表情から相手の友好性を判断する回数が増えたという。

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オキシトシン受容体の遺伝子多型が扁桃体の体積の個人差に関与(2010年)
https://ds-pharma.jp/literature/psychoabstract/article/2011/04_02_26.html

☆皮肉や冗談を理解するための神経ネットワークを解明
東大病院
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/neural-network-behind-understanding-of-irony-and-jokes/
内側前頭前野をハブとした階層的神経ネットワークが存在
2013/06/17

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Takamitsu Watanabe. 階層的神経モジュール。言語処理用モジュールと非言語処理用モジュールがあり、それらを共通モジュールの一つである前背側内側前頭前野がコントロールしている。

日常生活で交わされる皮肉や冗談を理解するには、非言語情報(表情や声色等)と言語情報(言葉の内容等)の食い違いを素早く処理し、相手の意図を的確に推測しなければならない。本研究では、このような言語・非言語情報のスムースな処理が、2つの下位モジュール(ここでのモジュールは複数の脳領域から成る機能的集合体を指す)を持つ階層的な神経ネットワークによって実現されていることを明らかにした。主に非言語情報を活用して他者の友好性を判断する場合には、後方部の背内側前頭前野をハブとする下位モジュールが活発化し、主に言語情報を活用する場合には右半球の腹側の後部下前頭回をハブとする異なる下位モジュールが活発化した。更に、2つの下位モジュールは前方部の背内側前頭前野によって橋渡しされ、背内側前頭前野が活性化後、どちらかのモジュールのハブ領域が活発になることも示された。すなわち、前方部の背内側前頭前野が非言語情報用モジュールと言語情報用モジュールのどちらかを選択的に動員し、非言語情報と言語情報が食い違う際の複雑な他者判断を瞬時に効率よく成立させていることを示唆している。本研究は、東京大学大学院医学系研究科精神医学の山末英典准教授・同研究科統合生理の渡部喬光特任助教らの研究グループによって行なわれた(科学技術振興機構「戦略的創造研究推進事業 CREST」および文部科学省「脳科学研究戦略推進プログラム」による成果)。

金沢大学 子どもの心の発達研究センター
?センター長ご挨拶より抜粋?
文部科学省による[国家基幹研究開発推進制度・脳科学研究戦略推進プログラム]の委託を受け、東田陽博教授や児童精神医学が専門の棟居俊夫(むねすえとしお)教授らが中心となり、金沢大学が我が国における4か所の発達障害研究拠点のひとつとして、先端的研究を担うことになりました。特に金沢大学には、オキシトシンの臨床応用研究や脳画像診断を中心とした研究が期待されております。

オキシトシンの広場
https://kodomokokoro.w3.kanazawa-u.ac.jp/menu_01/05.html
オキシトシンの広場とは
 ここでは主に、自閉症状を持つ子どもに対してご家族がオキシトシンの鼻腔内噴霧使用を試した結果生じた変化、また、使用した本人の感想などについてメール等で寄せられたものを承諾を得て掲載しています。
現在、日本をはじめ世界中でオキシトシンを自閉症治療に使用(処方)することは薬事法で認められていません。オキシトシンは、分娩促進や母乳分泌誘発などの薬として医療や畜産の現場で使用されています。すでに薬として認められている薬品の適応範囲を広げることは臨床の治療研究としては大変重要なことです。その観点に立って、東田陽博センター特任教授の責任でオキシトシンの応用範囲の最先端の現状をお知らせします。
なお、この掲載に関しては、発信者の方からの同意を得てあります。

東田陽博研究室
オキシトシンによる知的障害を伴う自閉症の治療試験研究開始
https://noupro.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/oxytocin.html

自閉症の治療薬は?― オキシトシンの可能性 ― (2011年4月26日記事)
国立特別支援教育総合研究所客員研究員 渥美 義賢 
https://www.nise.go.jp/cms/6,3691,13,257.html 
?抜粋?
 もう1つの働きは、脳内における神経伝達物質としての働きです。その経路を図1の青矢印で示しました。情動等を司る大脳辺縁系や、それと密接に関連する側座核(図の黄色部分)を中心に脳内に広く伝わります。この脳への働きが近年注目されています。

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愛の薬」? ~脳への作用~
 オキシトシンは哺乳動物の脳に作用し、ネズミや羊において分娩後に母性行動を発現させます。また、一夫一妻制をとるプレーリーハタネズミの雌では、オキシトシンが雌雄のペアが安定したつがいを形成し共に子育てをすることに関与しています。
 ヒトにおいても対人関係や社会性にも変化を与え、「他者への信頼」「共感性」「寛大さ」感が増す、等という研究報告がなされています。

 このような作用があることから、オキシトシンが「愛の薬」と報道されることがあります。
 そして、社会性・対人関係に作用する可能性があることから、オキシトシンが自閉症の治療薬になるのではないか、と期待されています。自閉症のある人たちへの実験的な投与もなされ、その結果として、社会性の改善、不安・恐怖の軽減、反復行動の改善等が報告され、自閉症の中核症状に有効である可能性が推測されています。

期待されるが・・・

 自閉症の中核症状がオキシトシン(同じく視床下部で合成され化学構造が類似しているペプチドホルモンであるバソプレッシンも)の投与によって改善されることへの期待は多く、現在多くの研究がなされています。オキシトシンは自閉症の治療だけでなく、うつ病や社会不安障害等の他の精神障害に対する治療にも役立つのではないかと期待されています。

 しかし、現時点では自閉症の特効薬になるかどうかについて不明確なことが多くあります。
問題点としては、鼻から吸入させる等の投与の方法と脳への移行の問題(血液から脳内にはほとんど移行しない、経口投与では消化管で直ちに分解される)、分解が早いこと(血中では3分間で濃度が半分に分解される)、薬剤の有効性を検定する基本的な方法である二重盲検法による研究がなされていないこと、静脈注射時ですがくも膜下出血や一過性の高血圧、吐き気等の副作用、等があります。オキシトシンが自閉症の治療薬となりうるか否かの解明、治療薬になるとしてそれが実用化に向けて、なお研究されるべきことが多く、かなりの時間を必要とするでしょう。

 また、オキシトシンの対人関係への作用が自閉症の対人関係の障害の特性に有効かどうかの検証も必要でしょう。オキシトシンの動物実験における社会性・対他関係に対する効果は、プレーリーハタネズミや羊におけるつがいの形成や母性行動の発現ですが、これらはつがい以外の動物や自分たちの子ども以外に対する攻撃性の増強(選択性の形成という重要な母性行動)を含みます。最近の研究で、オキシトシン投与により、自国中心主義を増強する―すなわち身近な対人的陽性感情の増強と疎遠な対人的陰性感情の増強する可能性が報告されました。対人関係と言っても幅広く多様な内容を含むので、オキシトシンが対人関係の変化をもたらすとしても、どのような対人関係にどのような変化をもたらすのかを明確にする必要があるでしょう。

オキシトシンとオキシトシン受容体
東北大学 大学院農学研究科 応用生命科学専攻
https://www.biochem.tohoku.ac.jp/bunsi/research-j1.html
?抜粋?
○人間相互間の信頼とオキシトシン
 2005年Nature誌に「オキシトシンが人相互間の信用・信頼を醸成する」と言う興味深い研究報告がされました(7)。
○子供の家庭環境と尿中の下垂体後葉ホルモン濃度
 2005年末には、孤児院等で面倒を見る人(care giver)に恵まれないケースに比べ、実親や養母などのcare giverに恵まれた場合、小児の尿中下垂体後葉ホルモン量が有意に上昇すると言う報告がなされました(8)。
○バソプレッシン受容体と夫婦関係?
 アメリカ原産のハタネズミ亜種が"一夫多妻制"をとるか、または"一夫一妻制"を採るかは、その種が持つバソプレッシンの受容体、V1aRの脳内での発現分布の違いによることが見いだされました(9)。バソプレッシンはオキシトシンに極めて近縁の下垂体後葉性ホルモンです。またこの婚姻行動の特性は、ハタネズミの脳内に人為的に遺伝子を補給することで一夫多妻行動から一夫一妻行動へと劇的に変化しました。

 このように、下垂体後葉ホルモンのオキシトシンとその受容体系は、もう一つの同ホルモン、バソプレッシンとその受容体系と共に、旧来から知られていた様々な生理作用に加え、動物個体の個性や個体間互間のコミュニケーションを制御している大変興味深いホルモン系であると考えられ始めています。  遺伝子改変マウスの作製と解析という方法が研究方法に加わることで、社会行動制御や自閉症発症とオキシトシンやオキシトシン受容体、バソプレッシン変異の関係を探る研究、下垂体後葉ホルモンとストレス応答に関する研究、或いは下垂体後葉ホルモンの持つ新しい生理作用に関する研究などが今後ますます興味深い展開を見せることでしょう。

オキシトシンと自閉症治療
2011-06-11
「まさのメディカルクリニックブログ(長野県軽井沢女医のひとり言)」
https://ameblo.jp/pcka/entry-10919663676.html#cbox

我が家の一人息子は自閉症です。
自閉症の原因は、いろいろなことが言われてますが、今だ解明されていません。
ですから、治療法も暗中模索の状況ですね
脳の異常だとか、牛乳アレルギー説、水銀中毒など、さまざまなことが言われています。
息子にも、いろいろな治療をチャレンジしてきましたが、「これだ」という治療法には、遭遇しませんでしたね。

そんなある日、オキシトシンという下垂体後葉から分泌されるホルモンが、自閉症の症状を改善するという金沢大学の論文を読みました。
本来、オキシトシンは分娩時には子宮収縮に関与し、分娩後は乳汁分泌を促進するホルモンです。
それが、自閉症の治療に有効だということなのです。
どうも、オキシトシンには、人を信頼することが出来る作用があるようで、フレンドリーにする作用があるようです。夫婦喧嘩にも有効とのこと・・・。
勿論、まだ保険適応ではなく、日本にもオキシトシンの点鼻剤は製造されてはいません。オキシトシン点鼻剤を入手するには、個人輸入です。
ちょうど、その頃息子はとても不安定な精神状態でした。
強いコダワリと、キレヤスイ状態で、我が家は大変な状況でした。
その最中に、この論文を読めば、親なら誰もがオキシトシンを直ぐにでも投与したくなるでしょう
私も、即、スイスから個人輸入して息子に投与しました。
徐々に落ち着き始めた息子を見て、本当に嬉しかったですね
しばらく落ち着いた日々を過ごしていましたが、東日本大震災で、海外からの輸入がストップし、オキシトシンがきれてしまった途端、息子は不安定になり、我が家は久しぶりのパニックでした。
そして、やっと輸入再開で1ヶ月のブランクの後に、やっと入手。しかし、なかなか症状は改善しなく、途方にくれてました。ところが、やっと血中濃度が一定化したのか、息子が少しずつ落ち着いてきました。
と、言うことは、自閉症者にとって、オキシトシンは継続しなければならないのでは
もし、そうであれば、厚生労働省に一日も早く保険適応にしてもらう必要アリですよね。
現在、金沢大学病院を中心に臨床治験が開始されてます。
全ての自閉症の方に効果が期待できるかどうか分かりませんが、今後イチオシの自閉症治療薬と期待できると思います。

自閉症治療・オキシトシンスプレーとリスペリドン併用の使用経験
2011年08月06日
「軽井沢女医からの発信」
https://masano.naganoblog.jp
https://masano.naganoblog.jp/e797095.html

以前、ブログでオキシトシンスプレーの使用経験を書かして頂きましたところ、同じ悩みをお持ちの親御さんから御質問をいただきました。
今日は、引き続き我が息子のその後の治療経験について、私の個人的見解を少し交えながら書いてみました。
息子は、今19歳。体格は普通です。二年前から攻撃的になることも時々あり、オキシトシンスプレーを使い始めました。確かに最初は、とても良く反応し、攻撃的な行動や自傷行為も落ち着いてきました。
しかし、養護学校を卒業し、作業場で働くようになった頃から再度攻撃的な行動を取り始め我が家はパニックになりました。確かに東日本大震災の影響で個人輸入していたオキシトシンスプレーの入荷が一時的にストップし、「薬切れ」の状態があった影響もあったかも知れませんが、とにかくオキシトシンを再開してもなかなか落ち着かず、それはもう、大変な騒ぎでした。
そこで、息子の主治医であり、私の母校のY学長に相談しました。
その結果、リスペリドンの投与のアドバイスをいただきました。
当初は、リスペリドン1mgを就寝前に内服させてましたが、朝、目覚めると強いコダワリとともに暴力的になることもありました。
最初は、投与量が足りないと思い、朝も一錠追加しました。
すると、作業場で睡魔に襲われるようになり、覚醒すると、攻撃的になるような、落着かない状態でした。
「もしかすると、逆にリスペリドンの投与量が多くて、抑えられすぎて、反発的になってしまっているのかな?」と、考え、朝、夕と0.5mgずつに変更してみました。現在、時々イライラすることもありますが、家庭でも作業場でも落着いています。そして、オキシトシンの作用により、穏やかな表情さえ現れる様になってきています。
息子の一例ですが、オキシトシンとリスペリドンの相乗効果と考えてよいのではないかと考えております。

☆コメントへのお返事から☆
金沢大学病院が日本でオキシトシン治療を行っている施設です。
日本では主に点鼻薬としての投与です。これらの薬は日本の厚生労働省が認可したものではないので、主治医のアドバイスのもとで患者様が個人輸入しているのが現実です。
当院ではアメリカのオキシトシン内服薬を現在検討しております。
こちらはアメリカのカリフォルニア大学の専門医と提携して当方で患者様に処方する予定をしております。
電話先では、十分にご説明できないことも多々ありますので、もし遠方でなければ、一般診療日の診療時間内にお越しください。
Posted by ドクターまさの at 2012年10月25日