先日、テレビで速読の技を持つ方のことを特集していた。しっかり見ていたわけではないので詳しいことは解らないのですが「速読法をマスターできれば文庫本も数分で読める」という。「いいなぁ~」なんて言いながら、のび太と見ていた。でもさ、のび太の「カメラアイ」は速読と違うのかな?と思い、のび太に聞いてみた。「でもさ、のび太も興味のあることだったら 本をちょっと見ただけですぐに覚えるでしょ?」
「??? でも、小説とかをあんなに早く読めないよ」
「それは興味がないからだよね。 興味があることって、パッと見て すぐに頭に入ってるように感じるけど」今までのび太の「カメラアイ」についてのび太本人に聞いたことは無かった。本当にいわゆる「カメラアイ」なのかも定かではない。もしかしたら「カメラアイ」ではなくすごい集中力の力で暗記しているだけかもしれない、なんて、密かに思っていた。
「興味のあることは見たらすぐ、 覚えられるジャン!」
「へえ~!それっていっぱい書いてあっても 一気に全部、パッと頭に入るの?」
「うん。でも興味のあることだもん!」
「でも、他の人はどんなに興味があったって 一気に全部が頭に入らないよ。 簡単に覚えられるものじゃないでしょ?」
「え?!そうなの?」
「そうなんだよ~! のび太みたいに好きなことだからって 簡単に覚えられるわけじゃないんだよ」
「ふぅ~ん・・・ 他の人も好きな事は一気に覚えられるんだと思ってた」最近、のび太にJRの時刻表を買ってあげた。実は私は時刻表が大好きで(笑)と言ってもいわゆる「鉄ちゃん」ではなくてただ、時刻表を眺める事が好きなだけ。路線図は面白い。普通の地図みたいに余計なものが書いてないしそれでいてちょっとした旅行気分をたっぷり味わえる。勝手に目的地を決めて、「○○まで普通列車のみで行ってみよう」なんて、何度も乗り返しながら妄想旅行もできるのだ(笑)これ、絶対のび太もハマるはず!と、その辺に置いておいたら、案の定、ドツボにはまった(笑)
「時刻表、メチャクチャ面白い~!!!」なんて感嘆しつつ、全国の新幹線の駅名をものすごく丁寧に書き出したりしている。この時刻表を見た直後から私たちに駅名のうんちくやらを語っているのび太。いつものことだけど、「一体、どうやって覚えるんだろう」と、思っていた・・・・・・ので、聞いてみた。
「じゃあ、例えば東北新幹線とか、 乗ったこともない東海道新幹線とかの駅名も あっという間に覚えたでしょ? あれって例えば『東京、上野、大宮・・・』って 覚えていくの? それとも東京から八戸まで一気に頭に入っていくの?」
「そう。一気に全部、覚えちゃうよ。 山陽新幹線も新大阪から博多まで全部まとめて パッと覚えちゃう感じ」
「へえ~~~・・・ 普通はね、どんなに興味のあることでも 覚える時って『博多、小倉、新下関・・・』 って感じでひとつずつ覚えるんだよね」・・・と言いながら、のび太の行動でもうひとつ思い当たる事があった。ピアノを弾くとき。そういえばどんなに長い曲でもまともに楽譜を見て引いているのび太を見たことがない。発表会で演奏した10ページほどのアンサンブルの楽譜も同じグループの他の子たちは「暗譜が心配~」って言ってるのにのび太は始めの1週間ぐらいしかまともに楽譜を見ていない。
「のび太、あの曲のイ長調に転調する手前でさ・・・」って言うと、
「36小節目の手前って言う事?」なんて、ろくに楽譜も見てないくせに具体的に小節数まで出てくる。
「楽譜も一度見たらすぐに覚えるんだ」
「ああ、そうそう! どうしてみんなそんなに楽譜を見たいのか、 わかんない、って思ってたよ」
「でもさ、一気にパッと覚える、って イマイチ、わかんないんだよね」
「なんでわかんないのかな~」
「だって東北新幹線も山陽新幹線も 駅がいっぱいあるでしょ? それを一気に覚えられるってさ、 東京から八戸まで全部の駅名が一気に頭に入る、 っていうことは、 カメラでカシャッて映したみたいに 頭に入る、って言う事かな?」
「ああ!そういう感じ!」
「じゃあ、思い出す時って東京から八戸まで見た この路線図が頭に出てくるって言う事?」
「そうそう!」
「じゃあ、楽譜は?」
「楽譜もだよ。 1ページずつ覚えちゃうから 弾く時はちゃんと頭の中でページをめくってる」
「ほぉ~・・・」そういえば入学したてで6年生までの漢字を全部覚えてしまったのび太。だけど先生は習っている漢字しか使わない。のび太も6年生までの漢字を知っていても習ったものだけを使うように気を使っていた。その時も、
「頭の中で知っている漢字の中から 学校で習った漢字を『習った漢字の部屋』に 移動させていって 学校では、その『習った漢字の部屋』からだけ 使うようにしているんだよ」って言ってたっけ。初めてのび太に「カメラアイ」の実態を語ってもらった(笑)面白かった。でも、「みんな興味のある事は ボクと同じように覚えられるんだと思ってた」って言うところがこれまた面白かった。それくらい、のび太にとっては当たり前のことらしいです。