Sensory Integration Therapy

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Nice!

ベンの学校で「センサリー・インテグレーション・セラピー」というプログラムが始まった。既に行われている行動セラピーに加えて、自閉症の人が不快に感じる細やかな事項を個々に分析してゆき、問題行動の分析、改善に役立てようというものなのだが、先日、保護者面談の時に見せてもらったベンの結果がとても興味深い。「あなたは、他人の声が不快に感じますか?」という問いにベンはYESと答えており、声が大きすぎるのが不快としている。なるほど、いつも命令したり、怒られたりする時に声が多きのが原因かもしれないが、どちらにせよ大声は彼にとって不快なものでしか無いことがわかる。その他に、教室の明るさや、温度など感覚にまつわる細かいストレスを項目として挙げてゆき、それによって環境を合わせることや、自分で別の方法によって解決させる方法を見いださせるのがゴールだ。クラスの中でもそれぞれの子がそれぞれの不快感を挙げていて、自閉症という障害の多様性を感じさせられる。ふと思ったのが、僕らにも何らかのストレスから逃れようとする方法はそれぞれ無意識に行われており、それは貧乏ゆすりであったり、深呼吸であったりと、いわゆる「普通」に見える行動なだけで、それが例えばベンにとっては胸を平手でバンバンと叩くといった「変な」行動になってしまっているように思えるのだった。本屋への道のりで、目の前に手をかざしながらテクテクと歩くベンに後ろから「手を下ろして !」と声をかける。ストップや、Don't ではなく、ただ「手は下に」というかけ声でベンの手は普通の位置に戻った。歩く事に興奮するのか、周りを歩く人にストレスを感じるのか、景色の移り変わりが楽しいのか、依然として必要最低限の会話をする以外のベンは、家の中でも外でも外界とのコミュ二ケーションはゼロに近い。まるでテープ・レコーダーが入っているかのように、映画や漫画のセリフやナレーションを繰り返すのも、自分で喋る音が刺激になっているのだろうか。止められない行動をコントロールするのは誰にとっても難しく、今回のセラピーの話を 先生から聞いて、一番理解してあげなければならない親でさえ、理解に苦しむ行動を1つ1つ意味付けしてくれるかのような気持ちになり、一般の人から見て「変」に見えるベンの行動を少し楽に見ることが出来た。