「障害」って何だよ?!

44
Nice!

ある日、車で信号待ちしていると、見覚えのある人が横断歩道を渡ろうとしていた。信号が青に変わったから渡っていいのだが彼は手を上げてちゃんと右左を確認し、大丈夫、と解ると、パッと笑顔になって渡り始めた。そして、右折してきた車が彼に気づき、手前で止まると彼は手を上げたまま、止まってくれた車にきちっと向き合うようにお辞儀をして渡っていった。Wさんだ!Wさんは我が家で利用している宅配の☆☆豆腐の方。☆☆豆腐は障害者授産施設である。(詳しくはこちら→過去記事)☆☆豆腐は主に知的障害のある方が働く福祉工場だ。障害のある方々が丁寧に作っている豆腐(絹、木綿、寄せ)、納豆、油揚げ、厚揚げ、こんにゃくなど、どれもこれも他の豆腐にはない美味しさなのだ。味に敏感なのび太は「豆腐は☆☆豆腐に限る!」と、断言するほどだ。☆☆豆腐は職員の方と障害のある方が二人一組で配達してくださる。障害のある方はおそらく自閉系の方が多い。「今日は木綿豆腐と油揚げと厚揚げです。 一生懸命作りました。どうぞ。」と、手渡してくださる。誕生日月には花の苗をプレゼントしてくださる。旦那の誕生月の3月には「今月、お誕生日、おめでとうございます。 マリーゴールドのお花です。可愛がってください」皆さん、とても生き生きと働いてらっしゃる。きちんとした身なりに、きちんとした挨拶に時々、見習わなければ・・・とすら思い知らされる。ここでは人と関わるのが苦手な方は配達ではなく工場で製造のお仕事をされている。ちゃんと苦手なところを理解して、それぞれの得意分野を生かしてくれるのだ。ある日、本屋でレジに並んだ。私の前で会計をしていた人が、お金を払って「ありがとうございました!」と大きな声でレジの人に頭を下げておつりを受け取らずにさっさと帰ろうとしていた。レジの人が「あ~おつり~」と言ったが聞こえなかったようだ。☆☆豆腐のCさんだ!Cさんは4月から我が家方面の配達担当になったばかり。特別支援学校を卒業したばかり、と聞いていた。思わず私は、「あ!Cさ~ん!おつり!おつり!」と、名前を呼んだら振り返ってくれた。「ああ!おつり!」Cさんはレジの人に「ありがとうございました」と深く頭を下げておつりを受け取り、行った。レジの人が、クスッと鼻で笑って片方だけ口角をあげた。・・・え・・・?笑うこと、ないじゃんよ!と、私は心の中でつぶやいた。今、レジで会計をして、ちゃんと会話でやり取りする人はどれくらいいるんだろう。みんな無言でお金を払って、無言で品物を受け取って帰る・・・私はこういうレジでの無機質なやり取りが怖くて、のび太にもレジに品物を出す時は「お願いします」と言うこと、品物を受け取ったら「ありがとうございます」と言うことと、教えている。いくらこちらがお客でお金を払っている側だとしても物を手渡されたら「ありがとう」と普通に口から出るようであって欲しいと思っている。それを、レジのアンタが鼻で笑うなんて・・・!!!と、思いつつ自分の会計をしていたら向こうからCさんが走って戻ってきた。そして私に「おつりを教えてくれてありがとう」と、これまた深く丁寧なお辞儀をして去っていった。彼はおそらく私が☆☆豆腐を利用している人とは気づいていないようだったが、それでも彼は呼び止めてくれた私にお礼を言うのを忘れたことに気づいてわざわざ走って戻って御礼を言ってくれた。「障害」って一体、何なんだろう?律儀に走って戻ってまで御礼を言ってくれたCさん、横断歩道で自分が渡るために止まってくれた車に、きちんと向き合ってお辞儀をするWさん、この人たちが何故、「障害者」の括りに入ってるんだろう。いじめられてあれほど辛い思いをしたと言うのに「誰も悪い人なんていないんだ」と、いじめられていた時のことを振り返るのび太。偉そうな肩書きだけで挨拶ひとつまともに出来ない人が世の中にはびこっているというのに、訳のわからない逆恨みで簡単に人を殺める人がわさわさいるというのに、私の知っている「障害者」と呼ばれる人たちは何とも純粋に世の中に関わろうと必死で生きている。レジのおばちゃんが小声で私に「さっきの人、お知り合いなんですか?」と、ちょっと半笑いで聞いてきた。「ええ、とても立派に働いてる方なんですよ!」と、自慢げに言ってやった。そう言ってる私が何故か、涙が出そうになった。