Yield to Pedestrian

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Nice!

飛行機事故は自動車事故よりもはるかに確率が低いと、セラピストの先生は言った。昨日の神業的不時着から一夜明けた朝、事故を伝えるニュースで持ち切りなのだが、どうやら鳥との衝突という防ぎようのない原因によるものらしい。セラピストまで登場して、今後の飛行恐怖症に対する対策を講じている。車と飛行機の決定的な違いは、車の事故はマナーというドライバーの意思で簡単に防ぎようのあることだろう。 NYの交差点は恐ろしい。歩行者用信号が青でも、左折や右折の車が突進してくる。渡っている人の切れ目を縫うように車が横切ってゆくのは小さな子供を持つ親や、渡るのが遅いお年寄りには恐怖であり、そこには運転マナーという言葉は全く意味をなさずに、さながら戦闘に近いサバイバルな状況が繰り広げられることもしばしばある。実は、これもベンを一人で歩かせることをとても難しくしている原因なのだった。日本の教習所で習った、交差点内に横断しようとしている人が居たら、一旦停車して横断を終えてから発車というのを覚えているのだが、そんな記憶もすっかりと消え失せてしまうほどに人と車の距離は近い。それはアメリカに於いてもでも同じルールだったと思うのだが、実際には止まってくれる車は無く、普通に歩いていてもせかされるかのように少しずつ車が動いていたりもするのだ。歩行者の側にも問題があり、日本のようにきちんと歩行者用信号を守らない人が殆どで、逆に車の切れ目を縫うように歩いている人が多いのも事実。実際に左折や右折の車が多い交差点では、それらの車が青信号で曲がってくる前に信号無視をして、先に横断してしまった方が安全だったりもする。しかしながら、この臨機応変具合をベンに教えるのは大変だ。彼らにとって、WalkはWalk、STOPはSTOPなのだ。ところが、Walkの交差点にフルスピードの車も横切ってゆくこともあるのだから手に負えない。やはり混乱を避けるためには信号遵守ということなのだろうか。信号を渡る駆け引きは、飛行機に立ち向かう鳥を追い払うより難しそうに僕には思える。                                             歩行者優先の標識