一人での夕食

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Nice!

忙しいことは有り難く、働けていることさえ感謝したいこの頃。ホリデー・シーズンということもあり、いつもならどちらかが何とか夕食の支度は出来るのだが、僕ら2人の予定が合わなくなることもしばしば。ベンを一人にしないで済むのはもっぱら3歳年下である弟の役目となってしまうのであるが、先週はその弟さえも学校の行事で帰りが遅くなってしまった。こんな時に必然的に訪れるのが初めての挑戦。今回はベン一人でディナーをしてもらうことになり、準備をしてベンに教え込む。勿論火を使わせることは出来ないので、電子レンジのみでの調理となるが、茹でておいたパスタと鍋の中にある火を通してから冷めたソースを皿に盛り、電子レンジで2分間暖めるという工程。説明していると、「Yeah、Yeah」と返事をして聞いている。一応レンジの時間設もテストしてみたが、こちらは普段から使っていることもあり、大丈夫そうだ。「うんこれは大丈夫だな」と、自分的にテンションを高めていてやたらと緊張しているのは親の方というのは誰もが覚えのあることだろう。出掛ける前には玄関と部屋の間を行ったり来たりして何度も確認しているのは自分の方だった。仕事場に着いてからも気になるが、ディナーを食べ終わっただろうと思う時間に電話をしてみた。「ベン、did you eat dinner ?」と訊くと「Yeah, I ate broccoli」と言う。ブロッコリーの方は夕食の付け合わせとして皿に盛ってあり、レンジで1分暖めることになっていた。どうやらメインのパスタは食べずに野菜の方だけを食べたようなので、何故パスタを食べないのか訊くと、「I have to wait for my brother」と答える。「ああ、成る程」と瞬時に理解できた。いつも野菜だけはそれぞれ先に食べてしまうけど、メインの方は必ず弟と同じタイミングで食べていたのだった。ベンにとってはここからが初めての経験だったのだ。「ベン、弟は帰りが遅くなるから待たなくて良いんだよ。自分だけで暖めて食べなさい」と指示を出し「OK, dad」と返事を聞いてから電話を切った。30分くらい経ってからもう一度電話すると無事に食事を終えていて、弟の方からも帰宅するとの連絡を受けていたので安心して仕事に戻る。心配から解き放たれた安心感とともにベンの成長ぶりに感慨しきり、補助輪を取った自転車の荷台を支えてすーっと走り出すかのような手応えのある出来事だった。