イタリアのしんちゃん

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Nice!

随分と前に、ベンがキュリオス・ジョージを大好きである話を書いたのを覚えている。YouTubeのお陰でビデオやテレビ放映ならずとも、あらゆる番組が見れるようになり、言語の壁までもを乗り越えての選択が可能になった今、ベンが気に入ったのは「クレヨンしんちゃん」。誰が教えるわけでもなくベンがたどり着いた「しんちゃん」はジョージに替わるお気に入りとなり、部屋からはあのしんちゃんのだら〜っとした声が聞こえてくる。どういった点に興奮するのか、時に手を叩いたり、ロッキングをするのであるが、どうやらそれはしんちゃんのする失敗や、それに続いて引き起こされるドタバタに共鳴しているようで、そこにはちょっとジョージとの共通点がある。というのも、ベンは今でも幼児の泣き声に敏感で、本屋や公園などでも子供が泣いていると近寄って行ってしまうことが良くあることにも関係しているように思えるからだ。以前は手を出してしまうのではないかという程近付いたり、触ってしまいそうな事があったので、本屋などで子供の泣き声が聞こえるとその方向に飛んでいったものだが、最近では遠巻きに微笑みながら見ている程度になったので少し安心している。特に耐えられない苦痛の音であるということでもなく、それによってイライラが引き起こされるという訳でもない。何かを興奮させるスイッチが入るようでどうしても行ってしまうという感じだ。ベンのドタバタ漫画好きとの共通項は、どちらもトラブルを見るというところ。ジョージもしんちゃんもトラブルの連続、そして子供の泣き声はトラブル発生のサイレンのようなものだ。僕らには人の失敗を見て、ちょっと面白く思う悪魔のような心が潜んでいる。本能的な部分でそんな心と、興奮することへのつながりを探ってしまうのは少し考え過ぎだろうか。YouTubeで見るまで知らなかったのだが、「しんちゃん」は英語は勿論、イタリア、韓国、中国でも放送されており、ベンは時々違う言語のバージョンを見てこれまた興奮している訳で、原因は言葉のやりとりではなく事象そのものにあることに間違いなさそうだ。無論こちらが考えている程の事は到底及びもつかない様子で、今度は「ちびまる子ちゃん」そして何故か「サザエさん」と突き進んでゆくベンなのだった。