水曜日に高校野球を見に甲子園に行ってきた。うちの患者さんが新二年生ながらベンチ入りしたのでその勇姿をどうしても生で見たくていてもたってもいられず家を飛び出し車を走らせた。彼との出会いは6年ほど前にスポーツ障害で来院した時だ。少年野球チームの中心的選手でエースで4番の典型的なワンマンチーム。なおかつ選手の将来などこれっぽっちも考えない馬鹿鬼監督のありえない練習量。「将来のことなんか知るか!今勝ちゃーいいんだよ!」という指導者はほんと地獄に落ちていただきたい。子供の未来をなにやと思とるんじゃ!と言いたい。というか一度だけ言ったことがあったな・・・その結果、体中の筋肉は疲労物質が溜まりカッチカチに固まりきって野球選手の命ともいえる肩関節の可動が子供のソレではなかった。数回、治療を重ね症状は安定し事なきをえたのだが彼(以下N君)のお母さんに2つお願いをした。まず1つは今のチームを辞めるか定期的に身体ケアに来るかどちらかにしてもらうこと。もう1つは「N君が中学校に入ったら高いレベルでさせてあげてください。」と。スポーツ障害で数々の少年の身体をみてきた僕だがN君はそれまでに診てきた子とは一味も二味も違った。小学5年とは思えない骨格の太さ・バランス全身速筋だらけの恵まれた筋肉の質 一般的には「バネがある」というのかな?今まで何千何万もの患者さんの筋肉をほぐしてきたがN君の筋肉を触った時にほんと身震いがした。プロ野球選手の身体を治療した時もこんな感覚はしなかった。口で言い表すのは難しいが。本来、人生を左右するかもしれないようなことはまず言わないのだがあまりにも恵まれた才能に思わず「高いレベルで」と口に出してしまった。もちろんお母さんは鳩が豆鉄砲くらったような顔をしていたのは言うまでもないが半信半疑ながらもN君は中学では強豪クラブチームに入った。そしてこのN君がすばらしいのは「やらされている感」が全く無いこと。お母さんも「頼んでしてもらってるんやないから嫌なら辞めなさい。好きならトコトンしなさい。」というスタンスでとてもすばらしい。N君も泣き言を一言も言わない。なにがあっても他人を責めない。そんな暇あったら練習しよう。という竹を割ったような性格。僕はこんなN君が大好きだ。中学に入るとメキメキ頭角を現し数校の甲子園常連校の目に止まることになる。僕も言ってしまった以上は責任があるので怪我をしないように定期的に体のケアをし鍛えないといけない筋肉・柔軟性をださないといけない関節をこと細かく探し出し出来る限りのアドバイスをした。N君もお母さんも真面目で僕のプログラムどおり実行してくれた。その結果、去年見事県内強豪校に入学した。で、今年見事三年生を押しのけてベンチ入りをはたした。いやーなんかほんとうれしい。その試合は出場機会がなかったがランナーコーチをしているのをみてるだけで泣いてしまった。猛者達が集まるので不安もあったろう、辛い練習もあったろう、全寮制なので寂しいかったろう、そしてなにより自分を追い込んで奮い立たせて鍛えた精神力。おじさん泣いちまったよ。しかも勝っちまったよ。よく頑張った!試合後、お母さんと話をしてるうちにまた目頭が熱くなって泣いてしまったよ。歳いくと涙もろくなるのか・・・明日も行くからな!N君!背番号18番!みなさん応援してやってください!家族しかもらえないタオルもらっちゃった!てことで明日はひな坊を連れて甲子園で絶叫してきます。あのヒッティングマーチ好きやし、ひな坊。