「のび太、お父さんに今日のこと、
お礼を言った方がいいんじゃない?」
「お礼?」
「だってお父さん、Z市に何にも用事ないのに、
のび太の漢字検定の受検のために、
車で片道1時間かけて、
連れて行ってくれたんだよ〜」
「あ〜そうか〜
でも、なんて言えばいいのかな?」
「じゃあ・・・
もし、のび太が何にも用事がないのに、
お父さんのことを車でZ市に送っていったとしたら、
お父さんになんて言って欲しいかな?」
「えっと・・・送って行ってくれてありがとう・・・
かなぁ〜?」
「そうそう!そうだよね!
じゃあ、そののび太の気持ちを伝えた方がいいんじゃない?」
「お父さん、今日は送って行ってくれてありがと!」
「どういたしまして〜」
「ね〜こうして『ありがとう』って言われたら
お父さんだって『また、漢字検定を受けるときは
頑張って連れて行ってあげよう』って思うんだよ〜
ね?おとうさん?」
「『ありがとう』って言われたらうれしいから、
何回でも連れて行くよ〜!」
ちなみに、お父さんは、私とのび太の会話の一部始終を
聞いていないふりで聞いています・・・ハハ・・・
普通だったら、「なんて言えばいいのかな?」の段階で
「そんなこともわかんないの?!」
・・・ってなことになるのでしょうが、
本当に分からないのび太。
我が家では「じゃあ、もし逆の立場だったら・・・?」
に置き換えて、なるべくのび太に考えさせます。
時々、「どうしてお礼なんか言わなくちゃいけないの?!」
って聞き返されることもあります。
でも、本当に本当に分からないんです。
それが自閉症なのです。
だから、いちいち教えて「言葉の経験」を積ませます。
いつか、自分の心の中から
自然に相手の気持ちを思いやる言葉が出てくるように。
自分の言葉で相手とのいい関係を作れるように。
追伸・・・漢字検定4級受験の詳細については、いづれ、ご報告します・・・