言葉の経験

27
Nice!

「のび太、お父さんに今日のこと、
 お礼を言った方がいいんじゃない?」

「お礼?」

「だってお父さん、Z市に何にも用事ないのに、
 のび太の漢字検定の受検のために、
 車で片道1時間かけて、
 連れて行ってくれたんだよ〜」

「あ〜そうか〜
 でも、なんて言えばいいのかな?」

「じゃあ・・・
 もし、のび太が何にも用事がないのに、
 お父さんのことを車でZ市に送っていったとしたら、
 お父さんになんて言って欲しいかな?」

「えっと・・・送って行ってくれてありがとう・・・
 かなぁ〜?」

「そうそう!そうだよね!
 じゃあ、そののび太の気持ちを伝えた方がいいんじゃない?」

「お父さん、今日は送って行ってくれてありがと!」

「どういたしまして〜」

「ね〜こうして『ありがとう』って言われたら
 お父さんだって『また、漢字検定を受けるときは
 頑張って連れて行ってあげよう』って思うんだよ〜
 ね?おとうさん?」

「『ありがとう』って言われたらうれしいから、
 何回でも連れて行くよ〜!」

ちなみに、お父さんは、私とのび太の会話の一部始終を
聞いていないふりで聞いています・・・ハハ・・・

普通だったら、「なんて言えばいいのかな?」の段階で

「そんなこともわかんないの?!」

・・・ってなことになるのでしょうが、
本当に分からないのび太。

我が家では「じゃあ、もし逆の立場だったら・・・?」
に置き換えて、なるべくのび太に考えさせます。

時々、「どうしてお礼なんか言わなくちゃいけないの?!」
って聞き返されることもあります。

でも、本当に本当に分からないんです。

それが自閉症なのです。

だから、いちいち教えて「言葉の経験」を積ませます。

いつか、自分の心の中から
自然に相手の気持ちを思いやる言葉が出てくるように。

自分の言葉で相手とのいい関係を作れるように。

追伸・・・漢字検定4級受験の詳細については、いづれ、ご報告します・・・