Memories in Tube

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Nice!

YouTubeのお陰で、ありとあらゆる映像が思いつくままに見れるようになった。懐かしいミュージック・ビデオや動いたところを見た事も無かった伝説のミュージシャンと、頭の中の情報量は飛躍的に大きく膨らみ続けている。

当然のことながら、情報を絶えず受け入れていたいベンにとってこれほど楽しいものはない。あまりの興奮度合いに一時は禁止していた動画サイトだが、いつの間にかなしくずし的に見ても良いことになっており、今や完全にテレビにとって変わるものとなった。

いくらでも続けて見返すことのできるこのシステムを、自閉症のスピリットが放っておくはずも無く、彼らの好みも電話帳からテレビ、ビデオそしてユーチューブといった時代の流れととともに進化しているのが伺える。

そんなベンが最近見つけて見ているのが、赤ん坊の頃に毎日欠かさず見ていたビデオ、「キッズ・ソング」。何度も何度も巻き戻しては見ていた映像は、とびきりチージーな歌のお姉さんと子供たちが演技をしながら歌うというもので、曲はアメリカの幼稚園で歌われるもののオン・パレード。

「何故ベイビー・プログラムを見ているんだ?」と訊くと、「Ben loves memory」と答える。確かにベンは思い出好きで、アルバムやコンピューターにセーブしてある写真を見返してはにこにことして興奮したりしていることが良くあるのだ。

トイザラスに行っても、ベービートイの棚の前でおもちゃを楽しんでいる事も多く、「また、ベイビーに戻りたいのか?」と意地悪を言うと、「No, I am teenager!」と言い返してくる。

学校の先生に相談すると、「それは皆が普通に持っている感覚で、大人になったからという自覚によって隠しているだけなのでしょう私も今でもぬいぐるみが好きですよ」とおっしゃる。

もちろんこれは女の先生だが、男の僕でさえ、ぬいぐるみは可愛いし、確かに人からの見た目で好みをアジャストしているという事はあるだろう。特に子供の頃は、もう○年生だから○○をするのは恥ずかしいというのは良くあった。

見た目などは全く問題にしていないベンにとって、ベイビー・トイは未だに楽しいものであり、メモリーを呼び起こさせてくれるのは「キッズ・ソング」のビデオでもある。

「Home home on the range~」と声高らかに歌う14歳はちょっと居ないだろう。日本なら、「ウサギ追いしかの山〜」という事になるのだろうか、外で歌うとちょっと人目をひくが、どちらも良い曲だ。

という僕も、YouTubeで昔見たドラマを見つけて涙しているのだった。