のび太はテレビに影響されやすい。
印象的なコマーシャルの商品は気になって仕方がない。
先日、私がバーゲン品から選んできたのび太のズック。
「早く走るために校庭のトラックのコーナーを曲がりやすく走れるように開発した・・・云々」
・・・と言ったCMをしているズックだったらしい。
今、学校で体力づくりのために休み時間に校庭を走る目標を
全校で決めて走っているらしいが、
「お母さん!すごいよ!新しいズックで走ったら、
ボク、今日、10周も走れたんだよ!!」
・・・・・自分の限界にチャレンジさせてしまったらしい・・・。
ガムが嫌いだったのび太。
車で私と旦那がガムを噛んでいたら
「あ、それ・・・ボクも噛んでみる!」
「え〜大丈夫?カライガムだよ」
ミント系のガム、初体験ののび太。
「『お前、誰?』『オレ、お前の息』・・・・・」
一人芝居をはじめるのび太。
「何やってるの?」
「ほら、コマーシャルで木村○哉さん
(なぜかフルネームに「さん」づけ)がやってるでしょ?
このガム、食べると「息」が出てきて・・・」
あ〜〜〜!!!はいはい!あのCMね〜!
こんな単純なことで、ガム初体験クリアしちゃうのだ。
トマトやピーマンのCMもしてほしい・・・。
アニメやドラマを見ても、
現実と「作り話」の境目が理解できずに、
いつまでも「おはなし」の世界をさまよって、
叱られた「くれよんしんちゃん」に思いをはせたり
(しんちゃん本人はあのとおり、あっけらかんとしてるのに)
かなり前のドラマの怖いシーンを
思い出して怖がったりしていたのび太。
「テレビで本当のことをやっているのは
ニュースとノンフィクションの番組だけ。
あとは、全部、「作っているお話」なんだよ。」
・・・と、言い続けてきた。
自閉症の人は一度、頭に入ったことを、
後から書き換えするのが難しい。
だから、小さいうちに「これだけは大切」
「この子はここが弱いから、小さいうちに教えたい」ことは
正しく伝えておくこと。
そう。
だから、今はわからなくてもいいから・・・と、
言い続けてきたことがある。
「世の中に、簡単にお金やものが手に入ることも
絶対にない。
働かないとお金は手に入らないし、働いて得たお金で、
ものが買えることになっている」
「『信じるものは救われる』かもしれないけど、
お金で『信じる心』をあらわすものではない。
お金を出せば助かる、なんていうことは絶対にない。
そんな神様は絶対にいない。
神様は誰にでも平等だ。」
(あ・・・うちは、無宗教です、はい。)
なんでも簡単に信じ込むのび太に、
今はわからなくてもいいから、と、
ニュースを見ながら言い続けてきたこと。
ある日・・・
「お母さん!ドラえもんだって『お話』なんだよね?
ホントにドラえもんがきて、助けてくれるはずないよね?」
・・・ニュースを見ていたのび太。
ある犯人が裁判で
「ドラえもんが何とかしてくれると思った」と、
証言した、というニュースを見たのび太。
でも、ドラえもん大好き、ドラえもんがココロのよりどころ。
1年生の時、クローゼットに閉じこもって、
ドラえもんが来てくれるのを待っていたのび太。
自分の机の引き出しもタイムマシーンになっているかも・・・
と、ものをしまわないでいた、のび太。
そんなのび太の問いかけに、ドラえもんを否定していいのか?
と、躊躇したものの・・・
「え?まあ、そうだね〜でもお母さんは、
『のび太にもドラえもんが来てくれればいいなあ』
って、時々、思うけどね」
「・・・ボクも、時々思うけどさ、違うでしょ?
あの犯人、おかしいよね?
だって、ドラえもんは『お話』なんだよね?!」
・・・そうか、のび太も現実と作り話がわかってきたのか・・・。
なんか、サビシイ。
すんごく、カナシイ。
でも、私自身がのび太のためにと、言い続けてきたこと。
それを、ちゃんと理解する力をのび太は持っているんだ。
喜ばしい成長なんだけど。
今、こうして書いていても涙が出るほど
悲しくて、さびしい。
ドラえもんを待ってクローゼットから出てきたのび太も
タイムマシーンを待って引き出しを開けておいたのび太も
もう、成長しちゃったんだなあ。
自閉症児の母はであることを、
初めて切なく思った私でした。
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