「普通」を理解できない。

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Nice!

自分の障害に疑いの目を向けたのは、あるドラマを見たのがキッカケだという話を以前書きましたが、それについて少し詳しく書きます。

去年放送されていた、「僕の歩く道」というドラマです。
成人の自閉症者、テルのお話。

何となく見始めたドラマですが、私は自閉症の知識は殆ど無く、自分が自閉症だなんて今まで一度も疑ったことありませんでした。

しかし第1話でさっそく自分とテルの共通点をたくさん見つけて驚いたのです。

これも私と同じ!これも同じ!・・と共通点が次々に出てきて本当に驚いたのですが、一番驚いたのは仕事の場面です。

テルは動物園の飼育係として働き始めるのですが、こんなシーンがありました。

餌のリンゴを切るときに、「2cmに切ってください」と同僚に指示されます。
するとテルは、定規を使って正確に2cmに切り始めました。
同僚は「大体2cmって意味で言ったのに」と言ってました。

私にも同じ経験があったのです。

飲食店でのアルバイトの時、「氷をコップの半分まで入れて」と指示をされました。
私が「定規はどこにありますか?」と聞くと、「そんなもの使わなくても出来るでしょ!」と言われました。

相手は、私が定規を使おうとしたことに驚いていましたが、
私は逆に、定規を使わなくてもいいと言われた事に驚きました。
だって定規が無いと測れないでしょ。どうしたらいいんでしょうか。

「大体半分ぐらいって意味で言ったのに、そんなことも分からないの?」と怒られました。

ええ。分かりません。半分と言われたら半分です。

他にもいろんな事で「そんなことも分からないの?普通は分かるでしょ」と、仕事中に何度も言われたことがあります。

「普通」という不明確なルールを誰が決めたのか知りませんが、私はその「普通」を理解することが出来ません。

私はある特定の分野の能力が知的障害者と同等のレベルだということを前回の記事で書きましたが、その特定の分野というのは、この「普通」を理解する能力なのです。
私はこれが極端に欠けているそうなのです。

それは非常識という事とは少し違います。
一般的な常識の知識は持っているつもりです。
それは本などで勉強したり、親から教えてもらって知っているからです。

でも教えてもらってないことは知りません。

「氷を半分入れて」と言われたら、それは「大体半分」という意味です。・・だなんて、誰からも教わっていません。本にも書いていません。だから知りません。

「真面目にやってよ」などと言われることもありましたが、私は至って真面目です。ふざけてなんていません。

しかし、知能や言葉の発達は一見正常で、どう見ても障害者には見えない私が「普通」を理解できないというのは、ふざけているように見えてしまうのでしょうね・・