のび太が幼稚園の年中の時、
いじめ、というか、仲間はずれにあったのび太。
「バスがイヤだ」と、園バスのことを時々、グズグズ言ってたのび太。
当時は会話もままならなかったのび太。
私ものび太の話がイマイチわからなかった。
ある日の朝、園バスを待っているときに、「鬼ごっこをしよう」と、
じゃんけんが始まった。
じゃんけんを始めたときに、S君が
「のび太はダメ〜」と、肩を押してじゃんけんの輪の中から外した。
心の中で「は〜〜〜」とキレル私。
「のび太はここで見ていようね」
と、手をつないで見ていた。
S君が鬼になった。
すると、のび太に駆け寄り・・・
「タッチ!!わ〜のび太の鬼だ〜」
と、いかにもイヤな物に追いかけられるように逃げ出した。
仲間はずれにされた上に、急に鬼に仕立て上げられ、
のび太は号泣した。
そんなことが何度も何度もあった。
親にもわかるほどのあからさまな仲間はずれ。
S君の親はそういうときに限って見ていないフリなのだ。
S君のお母さんとは気があって、よくいろんな話しもしていた。
だから、「どうしてS君に注意しないのよ〜」って
心の中でやきもきしながら叫んでいた。
これは行動を起こさねば・・・と、
バスに乗らずに私が送り迎えすることにした。
同じバスの子の話によると、バスの中でも、
のび太はSくんに仲間はずれにされていたらしい。
10日くらい、バスに乗らない日が続いた。
他の子のお母さんの助言もあって、
Sくんのお母さんは、電話で
「うちの子がいじめていたみたいでごめんね」
と、謝ってくれた。
「でもね、小さいうちはそういうことってあると思うんだよね。
みんな、お互い様で育っていくんじゃないの?」
そう。そうなんだけど、そういうことが親の目の前で行われているときは、
やっぱり、大人が注意してあげて育っていくんだと思う。
放置したままでは、いけないと思う・・・
・・・というようなことを私は言った。
Sくんのお母さんは、一応謝ったが、
私の言ったことには納得していないようだった。
・・・でも、私たち、「オトナ」ですから、
何事もなかったように、普通に接して
同じ幼稚園の係りなんかもやっていました。
時が過ぎ、2年後・・・
小学校に入学したころ・・・
Sくんのお母さんから
「突然だけど、今からお宅に伺ってもいい?」
と、電話がありました。
Sくんのお母さん、突然、
(Sくんママ)「のび太くん、年中の時、うちのSが仲間はずれにしちゃったでしょ?
ごめんね。今さらなんだけど、謝りたくて・・・」
ビックリ!!!
私の中ではその時、すっか〜り忘れていたんです。
「実は、2番目の子のMが幼稚園に入ったでしょ?
この前、幼稚園で仲良くなったお母さん達と公園に行ったんだよね。
そうしたらね、Mが仲間はずれになってるんだよね。
本当に他のお母さんが誰も注意してくれなくて、
その時に、のび太くんとうちのSのこと、思い出して・・・
のび太くんのお母さんも、こんな気持ちだったのか、
って思ったら、申し訳なくなって・・・
あの時の罰が当たったような気がするの。
ホントにごめんなさい。」
そういいながら、ポロポロ涙を流すSくんのお母さん。
彼女はいつも前向きで体裁を繕ったりする人ではなかった。
だから、2年前の私と同じ状況を目の当たりにして、
いてもたってもいられなくなったのだろう。
「気にしないでよ〜!私、すっかり忘れていたよ〜!
のび太とSくんのことは終わったことじゃない。
私とのび太のことは、気にしないで〜」
「ありがとう・・・」
突然のことにうろたえて、
気の利いたことも言ってあげられなかった私・・・
その日の夜、彼女にメールをしました。
「今日は来てくれてありがとう。
忘れていたけど、心のどこかでモヤモヤしていたのは事実です。
でも、Sくんママの今日の一言のおかげで、
モヤモヤは吹き飛びました。
勇気ある行動に、ますます信頼の気持ちを抱きました。
Mちゃんのことは悲しいけど、幼稚園に行けば、
別のお友達もたくさんいる。
私たちだけは、自分の子が誰かを仲間はずれにしたときは、
ちゃんと叱ってやれる母でいよう!
親愛なるTさんへ(Sくんのママの名前)」
すぐに帰ってきた返信メール・・・
「ラジャー仲間はずれ撲滅隊2号より!
・・・もちろん1号は、のび太ママだよ〜」
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