自閉症の子どもと暮らす家づくり(31)

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Nice!

さて、そんなわけで、紆余曲折をへてようやく「土地探し」がまともにできる態勢が整ってきたわけですが、さて、いよいよちゃんと土地を見比べていい物件を見つけよう、と思って本腰を入れて「土地」を回ってみると、これまた「希望に近い物件は非常に少ない」ことが分かって愕然としました。端的にいうと、土地というのは建売りにもまして「ろくな物件が出ていない」ということが分かってきたのです。建売り同様、ぎりぎりまで小さく区切って割高な値段が設定された、希望より小さな家しか建たない分譲地。せっかくの低層住宅地なのに、周りをすべて違法建築で敷地目一杯に建てられた古い家に囲まれた空き地。家を一軒建てるには広すぎ、でも分割すると小さくなりすぎるという中途半端な広さで売りに出されている土地。「広すぎる」ために値段は高く、売るときにも苦労しそう。築40年はたっているんじゃないかという古家つきで、私道の奥にあるためガス水道は周囲の家の許可がないと引き込めず、敷地内には撤去に莫大な費用がかかりそうな古井戸や巨木だらけの土地。接道規制ぎりぎりの、とても車が入ってこれないような私道の奥にある陰鬱でじめじめした土地。本当に、こんな土地ばかりなのです。でも、少し考えて理由が分かりました。住居用建物を手に入れるということを考えたとき、「建売住宅」というのは「最終製品」ですが、「土地」というのはその上に家を建てないと住むことができない、「中間製品」だ、ということです。つまり、土地というのは、私たちのような一般消費者が購入して、注文住宅を建てて住む、という買われ方以外に、・土地を仕入れて、家を建てて、「建売住宅」として販売するというビジネスを行う業者。・土地をまとめて仕入れて、整地して分譲して付加価値を与え、より高い「分譲地」として販売するというビジネスを行う業者。といった「買われ方」もするわけであって、一般消費者と不動産業者が競合する市場になっているというわけです。そうだとすると、情報が豊富で早く、相場観や知識もあり、資金力もある業者がその競争に勝ち、条件のいい物件をおさえて自分たちのビジネスに活用してしまうことは必然であって、一般消費者が買うチャンスがある土地というのは、・業者が見向きもしない「使えない土地」・業者が買う気も起こらない「割高な値段が(売り主によって)設定されている土地」か、もしくは・業者が付加価値をつけて売っている、割高な「分譲地」か、いずれかにしかなりようがない、ということになります。実際、ネットなどで検索慣れしてくると、検索に出てくる「土地」がほぼすべてこの3つのどれかにあたることに気が付きます。こういった状況で、どうやって土地選びをすすめていけばいいか、いろいろ考えました。