自閉症の子どもと暮らす家づくり(7)

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Nice!

さて、「長女の高校通学問題」を解決するための8つのアイデア、1)現状維持2)学区の高校の近くに家を借りる(家族全員)3)学区の高校の近くに家を借りる(母子のみ)4)隣の市区に家を借りる(家族全員)5)隣の市区に家を借りる(母子のみ)6)郊外に家を借りる(家族全員)7)郊外に家を借りる(母子のみ)8)自宅を売却して郊外に転居について、以下の評価基準にあてはめながら、検討していきました。①コスト②通学の利便性③卒業後の進路④次女の幼稚園⑤家族のつながりとバックアップ体制⑥妻の実家からのサポートの受けやすさ⑦住居の防音性能⑧その他2)3)がコストと生活圏変更により厳しいということで、次に4)と5)です。先のエントリでも触れたとおり、我が家は所属する市区の外れにあり、10mも歩くと隣の市区になります。そして、その隣の市区の場合、学区として指定されている特別支援学校が変わるという事情があります。ですから、その隣の市区に引っ越すことで学区を変え、そちらで指定されている特別支援学校の高等部に通う、というのが4)5)の選択肢のミソになります。この4)5)の選択肢については、前エントリの2)3)と似ている部分と異なる部分があります。「似ている部分」としては、隣の市区の学校自体はいまの市区の学校と同じかそれ以上に都心にあるため、「学校の近くに引っ越す」という選択肢を選ぼうとすると、2)3)と同等以上にコストがかかる、という点があげられます。それであれば、住所変更等の必要の必ずしもない2)3)のほうがまだメリットがあるため、4)5)を選択する必然性はありません。ただ、4)5)が2)3)と「異なる部分」として、あえて学校の近くには住まずに現住所のそばに引っ越す、という選択がありうる点があげられます。そして、自宅近辺から隣の市区の特別支援学校へ電車で送迎する場合、所要時間が1)の半分強、乗り換えは1回も必要ないので電車での送迎がある程度現実的になるだけでなく、車で送迎するのも幹線道路1本で近くまで行けるということもあります。つまり4)5)の場合、あえて学校の近くではなく現住所の近くに部屋を借りる、という選択肢になる、ということです。これにより、現在の生活や卒業後の進路に大きな変更を生じさせることなく、越境入学のような効果を得ることができるメリットが生まれます。マイカーも、いまある1台をそのまま家族で共有し自宅に停めておけばいいので新規取得コストも駐車場コストもかかりません。言い換えると、4)5)の選択肢とは、3年間近所にセカンドハウスを借りるコストを支払うことで、実質、1)の「現状維持」に近い状態で確実に越境入学を実現する案だということになります。ただ、この選択肢の場合、隣の市区に借りた部屋に住民票を移してそちらの住民になる必要が当然に生じます(ここが2)3)と違うところです)。「新居」が現在の自宅のそばだったとしても、生活の実態を「新居」に移さなければ住所の偽装と受け取られかねないため、少なくとも平日、妻と子どもはそちらで生活することになるでしょうし、そのためにはやはりファミリータイプのマンションないしアパートを借りる必要はあります。そうなると、2)3)のケースほどではないとはいえ、やはり3年間で数百万円の出費は避けられません。しかも、それだけの出費と家族の一定の分断を伴いつつ、通学にはラッシュアワーの電車もしくはラッシュの渋滞道路に突っ込んで、現状維持よりは短くはなるものの片道1時間(妻は2往復なので毎日4時間)かかり、次女の幼稚園問題に困難が残るというのは、あまり納得できるものではないように感じられました。とはいえ、この選択肢は比較的現実的であるため、実は最後の最後まで検討の俎上に残っていました。