脱走した発達障害の女の子

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Nice!

同じ職場で働いている、発達障害の女の子のお母さん。朝、出勤するとタイムカードの前で待っていた。「ん?どうしたの」と聞くと「昨日の夕方から娘が行方不明になっている」ということだった。その女の子は児童入所施設から近くの支援学校高等部へ通っていた。その日、友達と二人で「ちょっと散歩に行く」といって施設を抜け出した。夜になっても帰って来ないため、警察へ捜索願を出し、施設の職員と共に一晩中捜索していたらしい。心配で眠れなかったのだろう、憔悴した表情から不安の大きさがが見て取れた。「仕事どころじゃないから、早く帰ったほうがいいよ」と言って帰ってもらった。寒空の下、一晩どこかで明かしたとなれば、女の子の健康状態も心配だった。幸い、深夜になって一緒に施設を抜け出した友人の母親が連れて帰ってきて大事には至らなかったようだ。終わってみれば、「散歩に行く」と嘘をついて友達の家に泊まりに行った、ということなのだが、同僚の母親にしてみれば思いもよらない大事件だった。「うちの子はおとなしいので、脱走するなんて考えたこともなかった・・」「このまま、施設をやめて自宅にもどそうと考えている」と言うのを聞いて、なんだか違和感を感じた。年頃の子供がいれば、障害のあるなしに関らず、そういったリスクは親はあらかじめ引き受けておくべきではなかろうか、と思ったのだ。自宅に戻すのはいいとして、首輪でも付けて鎖で繋いでおくつもり?と答え、自制を促がした。結果は周囲の人に迷惑・心配をかける方向に出てしまったが女の子にとっては、マイナスだけではないと思う。あまり自主性のない女の子だった。自分から行動するということはほとんどなかったと聞く。思いもよらない事件に動揺している気持ちは理解できるが友達もいなかった娘が施設に入ったことで友達ができ、自分の意思で友達と一緒に行動した。いや、冒険したのではなかろうか。「自宅に縛り付ける前に、連絡すること、方法を教え、親のほうもなにか打つ手はないか、たとえばGPSだとか・・を考えてみたら」ということで落ち着いた。我が家もこの春から同じような状況を迎えようとしている。子供の障害の程度、普段の行動からすれば、我が家のほうがハイリスクだと思う。親の期待通りに子供が行動してくれるわけはないので、我が家も相応の覚悟を持たなければならないと思った。