今回のシリーズ記事では、我が家でのホワイトボードを活用した(あるいは、きっかけにしたさまざまな)コミュニケーション療育の話題について書いています。さて、前回のエントリで、娘の夕食時のメニューの見通しがたたないことによる混乱、パニックを、ホワイトボードでメニューを事前提示することで改善することができた一方で、ほぼ時期を同じくして、夕食後の親の行動、朝の親の行動など、毎日の親の「家事のルーチンワーク」をこなしているときに娘がパニックを起こす傾向が目立つようになってきました。これに対して、我が家ではいつもの(問題解決の手順の)とおり、いくつか仮説をたてて、その仮説を実際の働きかけで検証していくことで解決しようとしました。まず最初に気づいたこととして、そうやって娘が機嫌が悪くなっているときは、「親が近くにいるのに構ってもらえない状態」にあって、実際に娘が親の腕を引っ張るなど、「構ってほしい」というサインを出している、ということでした。そこで、シンプルかつオーソドックスな解決策(の案)として、「一連の家事を始める前にしばらく娘と遊んであげる」という方法を試してみました。ところが、これはうまくいきませんでした。そもそも、親が一連の家事をなぜやっているのかといえば、夕食を終えてからお風呂や就寝などにたどりつくため、あるいは朝起きてから学校にいけるような状態にまでもっていくため、つまり生活のスケジュールを先に進めるために、どうしても必要だからです。なので、多少娘と遊んだからといって、その後に続く家事がその分時間短縮できるわけでもなく、結局、娘と遊んだとしてもその後にやはり同じだけの時間をかけて「一連の家事」をやりとげなければならないことには変わりはありません。また、朝については時間の制約がより厳しいので、遊ぶことそれ自体が簡単なことではありません。そして、もう1つ気づいたこととして、「遊んであげ」た場合でも、その後の娘の行動にほとんど変化がなかった、ということがあげられます。しばらく隣にいて遊ぶと、実際にそれなりに喜んでくれます。そして、いちおう満足したような状況になってから家事をはじめてみるわけですが、それでも結局、それをやらずに家事を始めたときと同じように不機嫌になり、また「構ってほしい」ような動きをみせてくるのです。結局、親にしてみても、限られた時間のなかで無理をして家事の前に娘と遊ぶ時間を作っても、「その間だけ一時的に娘が満足する」だけで、本来の目的だった家事中の娘の不機嫌、パニックを改善する効果はほとんど見られませんでした。これでは、娘の不機嫌も解決せず、親としても労力ばかりかかって状況の改善には至っておらず、言ってみれば「コストにみあうリターンが得られない」状況となってしまったわけです。そこで、この「仮説」はいちど棄却して、別の可能性(仮説)を考えることにしました。そのときに着目したのは、それらの娘の不機嫌が始まるタイミングと、収まるタイミングでした。(次回に続きます)