男の子が産まれた。おかあさんになった(プロフィール その1)

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Nice!

私が32歳のときに男の子が産まれました。その子は世界一綺麗で可愛くて賢そうな顔をしていました(これを親バカといいます)。その男の子が今わたしのそばにいるちびごんです。わたしはおかあさんになりました。

手のかからない子

ちびごんはおとなしくていつもニコニコしてる、とても手のかからない子でした。

周りの子供たちがおもちゃの取り合いをしたり取っ組み合いのけんかをしてわんわん泣いているとき、ちびごんは水槽の中の熱帯魚を見て幸せそうにしていました。
水槽の中の熱帯魚
ある日友達の家に、ちびごんを預けて外出し、帰ってくると
「いろんな子を預かるけど、こんなおとなしくていい子初めてよ。羨ましいわ」
といわれました。

そのうちだんだんと不安になってきました。
“他の子が泣いたり怒ったりしているのに、どうしてこの子だけニコニコして遊んでいるの?まるで周りが見えていないみたい”

お医者さまの言葉

ママ友さんの中にちびごんがほかの子と違うことに気が付いている人がいました。
「もしかしたら耳が遠いかもしれないよ。検査してみたら?」

耳鼻科で検査をしてみました。異常はありませんでした。
耳鼻科の先生に紹介状を書いてもらい、有名な病院で検査を受けました。

検査結果を聞きに行くと先生はいいました。

「おかあさん、けっして悲観的にならずに聞いてくださいね。
ぼうやは今はどこにでもいる可愛い普通の男の子に見えます。でもこれから、だんだん普通の子とは違ってきます。最初はおかあさん、そして身近な人に、徐々に周りの人の目から見ても違うと分かるようになってきます。

人間は人とかかわりあうことで脳に刺激を受け、成長していきます。ぼうやは生まれつき人とかかわりあうことがなかなかできない子なのです。

そのため知的な成長が他の子より遅くなります。ぼうやなりに伸びては行きますが、他の子たちの成長がとても早いのでどんどん差が出てくるのです。

忘れないで欲しいのは、これはおかあさんのせいではないということです。
でも、お母さんがぼうやを大事に育てていけばぼうやは幸せな子になります。
大事に大事に育ててあげてくださいね。」

2人だけの砂丘
その日の夕方、舅が脳梗塞で倒れました。発見が早く命は助かりましたが、体が不自由になりました。ちびごんにつきあってもらい、舅の病院通い。退院したら、リハビリや人工透析(舅はもともと腎臓病だった)の送り迎えで毎日があわただしく過ぎていきました。

うちの周りには幼稚園に通っている子や幼稚園に入る前の子がいて、お天気の良い日の昼間はこどもたちとお母さんが外で遊んでいてにぎやかでした。わたしとちびごんは、舅の送り迎えのない日はその中ですごしました。

毎日、沢山の人と会っているのに、心はまるで、だれもいない砂丘のようなところにちびごんと2人でぽつんといるような気分でした。もう、なにもかも終わった。そんな気持ちでした。 続く

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