ツヨを連れて外出することは、それなりの準備と勇気と体力が必要です。ツヨは言葉はわからないものの、彼の外界に対するアンテナはピーンと張っていて、まるでなんでも分かっているかのよう。目的、道順はばっちり理解しています。一度行くと、しっかり記憶。しかし、危険意識、待つこと、集団行動・・・これが本当に難しい。まず危険についてどうかというと、電車のホームでも平気で線路に身を乗り出します。というか、電車に乗りたくて飛び込む勢い。握る手が命綱。何回か経験を積んだけど、まったく分かっていない。先日、箱根に行った時、峠のレストハウスで休憩しようと車を止めると、駐車場の崖の草むらへ走っていこうとします。山登りの山道の側面みたいなところ。そこを走って下りたい!と暴れます。死にそうです・・・本当に。手を必死につかんで止めるしかない。確かにそういう遊び場もあるけどね~・・・。外出時の2番目の課題、集団行動。これは経験を重ねれば、それなりの行動がパターンで入るでしょう。3番目の課題。待つこと。暇な時間の過ごし方。これも経験なのでしょうね。過ごしのためのおもちゃやグッズを見つけて行きたいです。今は、待ち時間はエレベーター。グルグルグルグル、階段とでサーキット・・・。実家や外泊先では、ひたすらお風呂で水遊び。バシャバシャバシャ・・・ずっとバシャバシャ・・・。もう一つありました。外出先での課題。それは予定の変更。これも経験で慣れていくのでしょうが、その時のツヨの心を思うとつらいのです。先日、海でクルーザーに乗せてもらうというイベントに行ったのですが、あいにくの風で、乗るまでに3時間。その間、ずっとエレベーター。たまに港を散歩すると、舟の乗り場へ行こうとします。「まだだよ。」私が言うと、またエレベーターへ。何をしにきているのか、ちゃんと分かっていて、彼なりに待っているのです。やっと船に乗って、救命胴衣をいそいそと着けるツヨ。が、なかなか動かない。結局、風速が基準を超えたということで、中止の掛け声が。ツヨに説明できない。胸のつぶれる思いで、まず私が救命胴衣を脱ぎ、おしまい、というと、マネをして脱いで、不思議な顔で下船しました。が、数メートル歩いて、桟橋の終わりが近づくと、『え!乗れないの?!』と足を踏ん張ってのけぞり抵抗。そうだよね。『乗りたいよ!』って言ってるだけなんだよね。「あー!あー!!」と叫ぶツヨ。周りの人は、あぁ、しょうがないなぁ、とか暴れていると思うでしょう。それがとても不憫でした。本当にごめん。うまく説明できない予定の変更は、胸が痛みます。何だか私がすごく落ち込んでしまいました。ツヨの笑顔や尊厳を守ってもあげたいし、外でいろいろな体験もさせてあげたい。私ももっと強くならないと。 よろしかったらツヨに応援のクリックをお願いします!