息子を連れてユニクロへ行き、冬物を補充してきた。自分の買物だけにしようかとも思ったのだが、私がユニクロに行くと言ったら、自分のジーンズを出してきて「穴があいたんだ」と言い、そのまま台所のごみ箱に捨ててしまった。そこで二人で出かけることになった。ジーンズは膝頭にとてつもない大きな穴があいていた。ほころびることでかえって価値が上がるような高級品でもないので、捨てるのは正解なのだが、それにしてもあんな穴がどうしてあくんだろう。育成学級でカポエラでもやってるんだろうか。おまえズボンのサイズはどれくらいだよと聞いたら、160と言う。身長で選ぶのは子供服だ。年齢的にも体格的にも、そろそろウエストで選んで長さを調整するやりかたを教えなければならないと思った。そこでメジャーをもってこさせて、胴囲を測ってから家を出た。彼の買物は迷いがない。じつにきっぱりした買物のしかたをする。サイズの見方を教えたら、数秒とたたないうちにコールテンのズボンを一本取り出して買物カゴに入れた。比較とか熟慮とかはいりこむ余地もない。それでいいのかと聞いたら、良いと答える。ジーンズもこっちにあるよと言ったら、そこからも一本取り出してカゴに加えた。やはりサイズの数字しか見る暇がないような迅速さだった。試着室へ連れて行き、はいてみさせる。胴囲は合っていたので、店員さんを呼んできて裾を上げて貰う。足下でごそごそされるのを嫌うかと思ったが、意外に素直に鏡のほうを向いて立っていた。とはいえ独り言が消えるわけでもなく、奇妙さはむろん一目瞭然ではあったのだが、店員さんも気づいた様子であったのに全く自然に対応してくれたのがありがたかった。ソフトタッチのTシャツが並んだ棚の前に連れて行って、いらんかと聞いたら、やはり迷いなくモスグリーンのMをとった。さいきん赤い服に凝っていて、赤のTシャツにオレンジのズボンなどという格好で登校したりするので、赤もあるけどその色でいいのかと念を押したら、「深緑」と答えるので、いちおう考えて選んだんだろう。靴下もやはりモスグリーンを買った。まず2足とったので、6足まとめ売りだと言ったら、あと4足、すべてモスグリーンを選んだ。他の色もあるのに。そうやって買った服を、さっそく今日は学校へ着ていった。ちなみに息子の学校は公立中学校なのに私服通学である。これまでの赤い格好に比べるとずいぶん大人びて見える。それに、デザインにはほとんど考慮なく直観的に買った割には、モスグリーンのシャツとコールテンのズボンの色がよく合っている。意外によいセンスをしているのかもしれない。それともユニクロの服はどう組み合わせてもそれなりに合うようにできているというだけかもしれない。よくわからない。