新型インフルエンザの流行はまだ治まる気配を見せない。しかし既にかかってしまった人はそれなりに回復している。有り難いことである。有り難いついでに恐縮なことだが、各学校の先生方にお願いしたいことがある。当地においては私立中高一貫校において顕著な傾向なのだが、解熱後2日間して出席停止があけた時点で再度受診して「治癒証明」を貰ってくるようにと指導されている学校がある。これを止めていただきたい。もうすっかり治りましたのにと、親御さんもうんざりした調子で義務的に来診されている。むろん、こじれているようだと仰って親御さんがご自身の判断でお子さんを連れてお出でになるのを拒むつもりは全くない。当たり前だ。それとは別に、親御さんもこどもさん自身も治ってると自覚されてるのに学校がそうしろと義務づけるもんだから仕方なく受診することになる(それが圧倒的に多いが)のを無くしてほしいということだ。第一に、そんな「証明」に何の意味もない。いつ解熱したかなど、我々だって親御さんに問診してその言葉を信用するしかない。学校が親御さんの言うことを信用しさえすれば、我々を挟む必要などないんじゃないかと思う。第二に、それを義務づけることでこの外来の繁忙に拍車をかけているということを自覚していただきたい。貴校では「みんながそうしたら世の中はどうなるか」ということを考えるのが道徳の基本だとは教えていないのか。たいてい1回の受診で済むところを学校の指示で2回に増やすなど、この大流行の時期においては、はっきり迷惑だと申し上げても罰は当るまい。第三に、なんかこの治癒証明というのを書かされることで、ほんらい学校が(あるいは校長先生や校医さんが)担うべき責任をこっちに回されているような気がして釈然としない。というか、なんだかそのためだけに振り回されているような気がする。第四に、いやこれが一番重要なことかもしれんが、病み上がりの子をわざわざ病人だらけの環境につれてきて小一時間待たせたりしたら、そこで次の病気を貰わないという保証はないんじゃないか?院内感染を防ぐのは病院の責任だから学校は知らんなどと仰っては、なかなか教育的によろしい態度とは言えないんじゃないかと思う。