新生児の呼吸管理のセミナー

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Nice!

人工呼吸器のメーカーが主催した呼吸管理のセミナーに参加してきた。鹿児島のI先生が肺保護を主眼にした呼吸管理法とECMO、血液浄化について。横浜のO先生がNICUでの母乳支援について。贅沢な講義だった。呼吸管理については、新しい知見があったというよりも、今まで自分たちがやってきたことがけっこうまともなことだったのだということが確認できてよかった。ECMO以降は自分たちには手の届かない空中戦であったが。でもまあ、俺らが京都の新生児医療に提供できることって、ECMO回せますということではなくて、最後の最後まで空床を開けてますということなんだろうと思う。そのうえでECMOや血液浄化療法をやれればさらによいのだが。血液浄化についてはこんど東レから新製品が出るらしいが、これまでに経験のない施設がその治験に参加するには鹿児島に研修にいかねばならんそうだ。新しい治療法がでるたびに、これがやれたら救命できた子もあったのかなと思って苦しい。場末のNICUでも10年も居るといろいろと思うところがある。母乳については、母乳推進の文言にドグマチックな印象を拭えなかったのだが、O先生の講義を聴くと、これだけ微に入り細をうがった指導支援ができるなら、彼らが言うような母乳育児の普及も夢ではないなと思った。人工呼吸器は外国製の高級車なみの値段がするので、そうそうまとめ買いもできない。年に1台ずつ更新するのがやっとなのだが、次年度の購入申請のたびにその時点の流行に左右されたりすると、NICUに様々な人工呼吸器がばらばらと並ぶことになる。人工呼吸器にはそれ専用の回路もあり運用のノウハウもあり、各社の人工呼吸器が1~2台ずつ並ぶというのはどうにも管理がしにくい。たとえばの話、空いた唯一の人工呼吸器の、回路がまだ滅菌から1個も帰ってきてないという悪夢もあり得る。ゼクリスト100Bを順々に退役させて、ベビーログ8000プラスで入れ替えていく予定。今は1台しかないので看護師さんも使うのをためらいがちだが、3台も揃えればばりばり使い回せるはず。そうしてグラフィックモニタの使い方を覚えれば、うちのNICUの呼吸管理も新時代にはいるはず。そしてこれまで私の頭の中にしか描けなかったいろいろの図表をみんなが見ることになって、ど初心者な研修医でも私並みに呼吸器を扱うようになって、私はめでたく年寄り扱いだ。