私の昔話。続きです。高校を卒業後、上京して1人暮らしを始めました。新しい環境は苦手だけど、家族と離れ、同級生と離れ、一からやり直せる良い機会かもしれないと、前向きな気持ちで新生活をスタートさせました。受動型・積極奇異型・孤立型というタイプは、固定しているのではなく、流動的なものだと聞いたことがあります。私は子どもの頃も、そして今も、完全に受動型だと思います。でもこの頃の私は、積極奇異型のようなタイプに変わりました。はじめは意識して積極的な性格に変えようとしていました。過去の私を知る人のいない今が絶好のチャンスだ、と。そうして、短大の講義中には自ら手を挙げて教授に質問をしたり、友人と話すときも受身で聞いているだけではなく、自らたくさん話すように心がけたり・・・今までには絶対にしなかったことを、するようになりました。だけどやっぱり私は発想がズレているようで、いつもトンチンカンな発言をしてしまうのでした。講義中に発言をしたときには、講義室が笑いの渦になったこともありました。もちろん私は笑わせるつもりなどなく真面目に喋ったつもりですが、真面目顔でマヌケなことを言ってる姿が滑稽だったのでしょうか。そういうことが何度も続くうちに、「面白い人だね」と人から言われるようになりました。私は「おとなしい」とか「暗い」とか言われることは何度もあったけど、「面白い人」と言われたのは初めてだったので驚きました。今まで無口だったから気付かなかったけど、私は喋ると面白い人になれるんだ・・・と気づいて、それから意識しなくても自然にたくさん喋れるようになり、行動もかなり積極的になってきました。他大学のサークルに1人で見学に行き、複数のサークルに入部して対人関係を広げてみたりとか。そこでもまた「面白い人がサークルに入ってきた」と喜んでもらえたり。今まで(高校まで)の自分は何だったんだろう、と思えるほど、明るい学校生活を送っていました。でも長くは続きませんでした。喋るタイミングを間違えたり、相手が嫌がっていることに気づかずに喋り続けたり、ポイントのズレた発言をしたり・・・そういう部分を初めは「面白い」と言ってもらえるけど、そのうち鬱陶しがられるようになるのです。自分では気づかないけど、相手に指摘されて初めて気づきます。無口だと失敗するし、喋っても失敗する。「ちょうど良い具合」というものが、私にはわかりませんでした。どうしたらいいものかと、再び悩み始めました。