昔は鬱々したブログ記事を書くのに使っていた時間を、今は自転車で外を走っている。昨日の午後は花脊峠を越えて北へ行き、芦生峠を越えて戻ってきた。むろんノンストップで越えられるほどの脚力はなくて、とくに鞍馬から花脊峠の登りは何回休んだか数えるのもうんざりするくらいだが、それでも押して歩くことはなく、越えるには越えた。越えて峠の向うへ降りたものか、謙虚に峠からまたこっちへ引き返すべきか、登りつつちょっと迷った。なにせ花脊峠を越えて向うへ下ったら、帰宅するにはどうあってももう一つ峠を越えなければならないはずだから。しかし峠では沈思黙考の間もなく向うへ下ってしまった。峠の向う側(北側ですね)で路面を舗装しなおす工事が行われているらしく、土曜午後で工事関係車両はいなかったものの路面はいちめんに砂埃で覆われていた。それほどがたがたはしなかった。峠の南側の鞍馬から峠までの路面がそうとうひどい道だったし、ESCAPE R3のアルミフレームとクロモリフォークもそれほど振動を上手に処理してくれるものではなし、路面にはあまり贅沢を言える立場ではない。花脊の山の家には子供たちも学校行事で宿泊に行くので、話はきいていたが、予想以上に大規模な建物だった。あれは数百人くらい泊まれるんだろうなと思った。おそらくは集落の人口の数倍は泊まれるはずなんだが、その人数が排出する環境負荷をこの土地は支えきれるんだろうか。花脊から先しばらくしてバス停留所の標識の形が変わる。バス会社の表示にテープを貼って消してある。好かしてみると京北町の町営バスらしい。そういえば最近京都市と合併したんだった。京北町の中心部へいく道と分岐すると、いよいよ本格的に人里を離れていく。芦生峠へむかう道の、灰屋という集落を過ぎるともう人は住んでいない模様である。渓流のわきの道であるが、花脊峠と比べてガードレールが少ない印象がある。田舎者なので人がいない道を走るのはあまり苦にならないが、高所恐怖症の気はあるので、ガードレールのない路肩の先がいきなり崖だとあまりよい気分がしない。わりと水量の多そうな渓流の音が聞こえるが、高さどれくらいだろうとのぞき込む気も起こらない。自動車がほとんど通らないのが幸いだと思いつつ登っていく。あまりくねくねと曲がる印象はなくわりと一直線である。休み休みではあるが登れはする。花脊峠の登りはじりじりと勾配が増していって挙げ句の果てにとんでもない傾斜のつづら折りが待っているので、こっちもそうかと思っていたが、案外とあっけなく峠に着く。芦生峠の南側はやはり急坂である。こっちを登ることにしないで良かったと思った。下り道はやはりつづら折りである。ガードレールはやはり少ない。これは路線バスが走ってるかどうかにも関係するんだろうか。花脊峠のほうは京都バスの路線があるし、京都市じゅうの小中学生が宿泊研修に行く施設もあるし。下っていくととつぜん道が良くなり、なんとなく雰囲気が雅びてくる。なにかなと思ったら貴船の料亭街に入る。納涼床のシーズンだったら、人がいない下り道をかっ飛ばす気分でここへ突入すると危険だろうなと思う。