昼間、家に居る事の多い僕に回ってきたのは、ベンの学校での保護者会の役職。お母さんがかなりの確率で働いているNYでは、昼間にある学校の会合に出られるという人も限られており、必然的に白羽の矢が立ったというわけだ。とはいっても、1月に1度程度の会合のスケジュールを会わせれば良いので、予定を合わせて出席すれば良く、学校の状況も良くわかりとても有り難い。おまけに役員ということで、時には大きな会合にも出席することが出来る。先日ミッドタウンのホテルで行われたYAI(National Institute for People with Disabilities)のワークショップは4日間にわたり一日中いくつもの講習がおこなわれており、そのうちの1日に参加することが出来た。毎日500人以上が参加する朝の10時から5時までのプログラムは3、4の講習を自由に選ぶ事が出来る。来場者は保護者が1/4程度でその他は障害者教育の関係者というビジネス調な雰囲気。さながら自閉症フェアといったところか、クラスの合間には名刺交換をする人の姿も多く見受けられた。バラエティ豊かな講義の中から迷いつつ最初に受けたのは、障害者(この団体は基本的に自閉症グループとダウン症が中心)の性教育。これからのベンにとって一番の課題となるべくもので、参加者からの質問のやり取りも興味深い。昼からは、自閉症の自己刺激についての対処法で、これも実践的なもので参考になったが、最後に受けた音響セラピー( Sound Based Therapy )と呼ばれる新しいメソッドについてが今回の一番の収穫だった。これは耳の奥の骨が刺激・感覚の大きな部分にあたることに注目したもので、ヘッドホンを使い周波数音域の変わる音楽などを聴いて脳の活性化を図る。講師の先生は本を出版していてその説明にも熱が入る。講習以外でも、ロビーにはいくつもの障害者向けサービスの会社や団体がブースを出し、他動やロッキングを和らげる室内用ブランコは担当者が実演(揺れながら)販売していたり、障害者用保険や、インターネットによる自宅学習システムなど、こうした障害者支援が「ホット」なビジネスでもあることを感じさせ、最新の情報に触れるという意味でも価値のあるものだった。障害者にかかわる人々が淡々とその解決の糸口を見いだしてゆくかのようで、そこには1つも後ろ向きな要素が感じられないのが嬉しく、知り合いではないけれどたくさんの仲間に会えたのもエネルギーをたくさんもらったかのように感じながら会場を後にした。