○○病

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Nice!

昨年度途中から不登校になり、身体症状や精神症状がひどくなってきて・・・という相談がありました。不登校のきっかけは、担任の言葉。クラスで計算問題を解いていた時に、簡単なミスをしてしまった他の生徒に向けて「そんな間違いばっかりしていたら、○○病(○○には今回来院した生徒の苗字が入る)になってしまうぞ!」と言ったのだそうです。お子さんは、日頃から勉強は苦手であるものの、宿題も一生懸命お母さんとやっているし、授業を妨害するわけでもありません。ただ、どうしても苦手な勉強では、解けない問題が多かったり、時間内に仕上がらないこともあり、ミスも増えてしまうことがあります。これまで発達評価や診断を受けたことはなかったということでしたので、発達検査を初めてやってみたところ、非常に視覚認知が悪く、LDの要素が強いことがわかりました。板書や本読みなど基礎的な学習スキルも定着するのはかなり難しかったかもしれないと思われました。本来は、LDの診断があってもなくても、そのお子さんの学習の困難さを把握して、適切な援助をするのが、教育的な配慮というものではないでしょうか。「特別支援教育」などと看板をかかげなくても、ひとりひとりに合った指導を準備するのが当然ではないでしょうか。それさえもせず、子どもの弱点を「○○病」とみんなの前でターゲットにしてみせるとは…。苦手なことや弱い部分をターゲットにして、先生自らが「いじめ」をやってみせているようなものです。できないことをみんなの前で指摘され、病気と言われ、みんなから笑われたお子さんの心の傷は、ずっとずっと修復できないまま、心も体もボロボロに疲れてしまっているのです。新学期になって、担任が変わったところで、簡単に傷が治るわけではありません。他校に異動してしまった担任は、この子の受けた傷が今も癒えていないことも知らず、またどこかの学校で同じように弱い者「いじめ」をやってしまうのでしょうか。新学期に新しい先生との出会いがあって「おかげさまでしっかり引き継ぎをしていただいて順調にスタートできています」「先生が変わったことでこんなにいい形に子どもがかわっていくなんて」「去年までは机の下にもぐったり走り回ってしまっていましたが、今年は先生がよく配慮して下さるので、参観日に見違えるような姿で嬉しかったです」などと、嬉しい報告をいただくことももちろんあるのですが、残念ながら教育・学校のお粗末な対応を嘆かなければならない場合もあるのが現実です。子どもたちの心を傷つけないでほしい。どうか子どもたちを大切にはぐくんでいただけるような学校であってほしいと願わずにはいられません。