言葉に置き換えられない。

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Nice!

診断済の成人アスペルガーの多くは、WAISという知能検査を受けたことがあると思います。私も受けました。私はその中で、「理解」という項目がいちばん低くて、たったの3点でした。社会性や常識を問うものなので、この得点が低かったということは、いかに私が非常識な人間かということが証明されたことになり、とても落ち込みました。でも私は常識を理解できないことよりも、言語能力があまりにも低いので、それが影響しているように思います。問題に対する答えのイメージはすぐに頭に浮かんだとしても、それを言葉に置き換えることが出来ないので、ものすごく稚拙な回答になってしまうのです。「早く答えなきゃ」という焦りもあるので、分かっていても「わかりません」と言ってしまうこともあります。このように文章を書く時はゆっくり考えながら書いてるので何とかなりますが、とっさに口頭で述べるという能力が私は凄く低いのです。だから会話も苦手です。「理解」の次に低かったのは、「類似」と「単語」これも言語性の項目で、表現力を要する検査だったため、私にはかなり困難でした。でも私は言語性はとても低いけど、動作性は高い。ちなみに多くのアスペルガーの人は言語性の方が高いようですが、私は逆でした。なので私はアスペルガーというよりも、高機能自閉症に近いように思います。動作性の「符号」という記述式の問題の時、問題を解く手が速いスピードで動いていたので、検査を担当した心理士さんが「こんなに速く手が動いている人は久しぶりに見た」と驚いていました。そして全検査を終えて、「頭の回転は速いのに、その速さに言葉が追い付いていない」と言われて、ものすごく納得しました。頭に浮かぶイメージを言葉に出来ないもどかしさ…今までにも何度も経験してきました。逆に言語性が高くて動作性が低い場合どういう困難があるかというと、言葉は達者なのに行動が伴っていないので、「口先だけの人」と思われてしまうのだそうです。それはそれで大変だろうなあと思います。どちらにしろ、言語性と動作性の能力に大きな差があると、生きにくさにつながってしまうのですね。