息子は絵を描くのが好きです。見たものや経験した事を、絵に描いて再現することがあります。細部にこだわって描くので、全体をみると何の絵か分かりづらいこともあるのですが、直感のままに表現されていて、とても奥深い絵だなあと私は思います。*人間は進化の過程で言葉を得ました。言葉を得たことで、コミュニケーション術、物事を概念化する能力、思考力、想像力、社会性・・など、多くのスキルを得ました。でも、失ったものもあると思います。サルに戻れば、その答えが分かるかもしれません。人間は全ての感情を、言葉や概念に置き換えるようになりました。「楽しい」「嬉しい」「きれい」「おいしい」「悲しい」・・・・でも、言葉に置き換えられない豊かな感情もあるはずなのに、言葉にしてしまった時点で、それらの感情は無かったことになってしまうような気がします。人間は言葉を得たのと引き換えに、細部を感じ取る豊かな感覚の世界を失ったのではないでしょうか?自閉症者は感情を言葉に置き換えたり、物事を概念で見ることが苦手です。でもその代わり、何事にも敏感です。言葉というフィルターを通さない為、細部まで感じ取ることができます。記憶も鮮明です。豊かな感覚の世界を捨てていません。人間が進化の過程で捨てた敏感さを、自閉症者は捨てずに保持していたということなのかもしれません。その敏感さが生活に支障を生じさせてしまうのは、なんだか残念な気がします。*自閉症者には「木を見て森を見ず」という特性があります。細部にはこだわるけど、全体を見渡す力に弱い。社会生活を上手に過ごす為には森を見る訓練も必要かもしれませんが、木の1本1本を敏感に感じ取る力を失ってしまわないようにしたいです。