のび太が、趣味の日本史の年表を書いていた。最近は、日本史関係の本を読んでいるか、その仕入れた知識を自分なりにまとめて書いているかで一日が過ぎていく。天気のいいある日、窓から差し込む日差しに向かって、テーブルにすわり、「親鸞が・・・」などとつぶやきつつ、なにやら書いていた。・・・ん?手を顔の前でひらひらさせている。そう。あの「手かざし」という自閉症児によく見られる、感覚刺激だ。驚いた。のび太は今まで「手かざし」をしたことがなかった(はずだ)。感覚刺激の中でも爪先立ちやくるくる回るなどの行為はあったが、手かざしはしなかった(はずだ)。爪先立ちもくるくる回りも、今でも時々しているけど、頻度はかなり減っている。そんな中、9歳にして(おそらく)始めて、手かざしをしているのび太。爪先立ちもくるくる回りもこの子たちが思わずしてしまう理由があるはずだ。その理由を知りたいと思っていた。精神科医の見識じゃなく、のび太の理由を知りたい。きっと、手かざしも何か理由があるんだ。どんな風に見えるんだろう。ひらひらさせる理由を聞きたかった。「のび太、何してるの?」「ん〜?別に〜。なんとなく〜・・・」のび太は手のひらをひらひらさせながら答えた。「まぶしいの?」「ううん。まぶしいのがキレイだなって思ったの。」え?のび太はまぶしい日差しが苦手だ。まぶしくてパニックになることもしばしば。車に乗るときは必ず100均のサングラスをする。(詳しくはこちら)それなのに「まぶしいのがキレイだ」って?「まぶしいのが苦手だったんじゃないの?」「うん。でも、今はキレイだよ〜」へぇ〜・・・と、思って、のび太の隣に座って、同じように手かざしの真似をしてみた。「ね?キレイでしょ?」「へぇ〜ホントだ〜キラキラしてキレイだね〜」日差しの光と指の影が交互に目に映る。目の奥の方がツンツンするような感覚???爪先立ちもくるくる回りもやってみたことがあるけど、こちらはよくわからなかった。でも「手かざし」はなんとなく理解できる。万華鏡が大好きなのび太。水の中から見た空がきれいで感動したと、何度も言っているのび太。おそらくその延長線上にある感覚かもしれない。「でしょ〜・・・ さてと!日本史の続きやろう!」ちょっぴりだけど、のび太の気持ちに近づけた気がしたよ。