息子がロタウィルスにやられ、てんやわんやでした。。今日の記事は、以前書いた記事に少し加筆したものです。反論もありましょうが、「こういう考え方もある」という程度に受け止めて下さい。「障害は個性と捉えましょう」という主張をよく聞きます。良い言葉だとは思いますが、現実を見れば、障害は障害だと思うのです。障害と言っても色々ありますが、私は発達障害のことしか分からないので、発達障害についてお話します。私が子供の頃は、発達障害の概念は知られていませんでした。他の人が当たり前に出来ることを、私はどんなに頑張っても出来ない。考え方や感覚にもズレがある。それを「努力が足りない」「怠けるな」「性格が悪い」と何度も叱責されました。「こんなに頑張ってるのに、まだまだ努力が足りないのだろうか」と自分を責め続けました。しかし近年、ようやくこれが「障害」として認知されるようになり、私たち発達障害者は、やっと、暗くて長いトンネルから抜け出す出口を見つけたのです。それなのに、発達障害=個性と結び付けてしまうと、再び発達障害の概念が埋もれてしまい、また元の時代に戻ってしまうのではないでしょうか・・もしも発達障害が「個性」ならば、私は「障害」という免罪符を捨てなければなりません。私は再び、「努力不足で怠け者で性格が悪い人」に戻ってしまいます。なんて残酷な個性なんだろう。「障害」ならば、出来ないことがあって当然、支援してもらって当然・・・とは思ってません。だけど「人と同じことが出来ないのは、努力不足ではなく、性格が悪いわけでもなく、障害だった」と知って、どれほど救われたことか。診断後の周りの状況は、今のところあまり変わりません。大人の発達障害者が理解を得るのは簡単ではないので、当事者が必死に訴えて理解を求めるしかありません。だけど障害を個性と言ってしまうと、理解を求めるきっかけすら失ってしまいます。だから私は、自分を安心させるためにも、理解を求めるきっかけを作る為にも、障害は障害と捉えなければならないと思ったのです。発達障害に限らず、障害者は皆、好きで障害を持って生まれたわけではありません。たまたま障害を持っていただけのこと。障害者は何も悪く無い。健常者も何も悪くない。人格的にはどちらも劣っていません。だけど生活する上で不便かどうかという点で優劣をつけるならば、今の世の中では、やはり障害者のほうが劣っていると思うのです。だから障害者には支援が必要なのです。障害者には個性が無いと言ってるわけではありません。素晴らしい個性を持っている障害者はたくさんいます。障害は個性を引き出すための可能性を持っている・・ということは言えると思います。だけどそれは、その人(障害者)の個性であって、障害=個性ということではないです。障害は障害にすぎません。「五体不満足」の著者の乙武さんが本を出した頃から、「障害は個性だ」という主張が広まったのかもしれません。世間では乙武さんが「障害は個性」と主張していると思われていますが、当の乙武さんは、「僕は『障害は特徴』とは言ったけれど、『個性』と言った覚えはない」と困惑されていました。特徴と個性とはニュアンスが違いますよね。。障害を前向きに捉えていてる乙武さんの本の内容に感銘を受けた健常者の方が、「障害は個性だ」と解釈し、その言葉が1人歩きしてしまったようなのです。なんと言うか・・・・健常者の驕りのようなものを感じてしまいました。それはさておき、発達障害は、その境界線が曖昧であるから、「障害か、個性か」という議論になってしまうのでしょうけど、やはり、医者から診断されている以上は、障害は障害と捉えなければ、理解は得られないと思うのです。「障害は個性」という、その言葉自体は素敵な言葉だと思います。励ましの意図があるのも分かります。その善意は素直に嬉しいと思います。だけどそれは、「障害は個性だから直す必要はない。個性はそのままでいい。支援も配慮も必要ない。療育も必要ない」という意味にも取れてしまうのです。私が暮らしている地域は、発達障害の理解が遅れているそうです。それを実感した出来事がいくつもありました(それは別の記事で今度書きます)どこに相談に行っても、「個性と捉えましょう」と言われてしまう。ここに住んでいたら、私も息子もずっと理解を得られない、という危機を感じました。夫と相談し、別の地域へ引越しをすることにしました。どこに行くかはこれから決めますが、発達障害に理解のある地域を探しています。それに伴い、夫は今の仕事を辞めると言ってます。すぐに辞められる仕事じゃないので、あと1年後か、2年後。長年続けた仕事を辞めるのは辛い決意だと思うけど、それよりも私や息子が理解を得られないことのほうが辛い、と。「障害は個性」という言葉に励まされた当事者や家族がたくさんいるのも知っています。だけどその一方で、私たち家族のように、「個性」という言葉に生活を振り回されている人もいるということを頭の片隅にでも置いていただければ・・と思います。長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。