マラソン。1

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Nice!

先週の木曜日、自閉症の青年が主人公のドラマ「マラソン」が放送されましたね。実話を元にした作品だそうです。
見ましたか〜?

私はリアルタイムでは見れなかったのですが、録画しておいたので、さっき見ました。

私は自閉症当事者でもありますが、自閉症児の母親でもあります。
私はこのドラマを「自閉症の子供を抱える母」という目線で見ました。

私の息子は、私よりもずっと自閉度が高いのです。
自閉度が高いと言うのは、「暗い子」ってことじゃないですよ。
息子は私よりも何倍も、明るくて賢い子です。

しかしながら、毎日が戦争です。

このドラマ、ストーリー自体は、感動と言うほどには至らなかったのが正直な感想ですが、母目線で見ると、胸を打つ場面がいくつもありました。
自閉症の子供を抱える母親の苦悩が、とてもよく描けていると思いました。

田中美佐子さん扮する母親が、自閉症の息子に山登りをさせた話のくだりが印象的でした。

山登りをさせたのは、表向きには「足腰を丈夫にさせるため」と言ってましたが、その本音は、「疲れさせたかった。早く寝て欲しかった」

凄くよく分かります。

私は息子をあちこち連れて行って遊ばせます。
表向きには「息子のため」
しかし本音は「疲れさせたい」「寝かせたい」
そうしなければ、家事も何も出来ません。
息子のためではなく、自分のためなのです。

ぶつかった木の幹や、泣いている母親の胸に絆創膏を貼っているところ。自分の息子と重ね合わせて見て、思わず泣いてしまった場面でした。

うちの息子、言葉は達者ですが、意志の疎通は全くうまくできず、何を考えてるのか分からないことが殆どです。
我が子の気持ちが分からない。母親としてこんなに悲しい事はありません。そんなやるせない思いに何度も涙を流したことがあります。

私がなぜ泣いているのか、もちろん息子は理解していません。
怪我をして泣いていると思ってるのかもしれません。
私が泣いていると、時々こんな手紙を書いてくれます。

「まま これあげるから、いたいのなおしてね」と、手紙に絆創膏を添えてくれるのです。

こんなに真っ直ぐで純粋な子なのに、少数派という不利な立場に生まれてきたがゆえに、これから長い間、生きにくさを抱えていかなければならないのです。

そんな息子から、私は目を離すことができません。
たぶんこれからもずっと、です。

ドラマの中で、「私の夢は、この子より一日だけ長く生きること」いうお母さんのセリフがありましたよね。

障害を持つ子を抱える母親の、切ない願いです。

まだ続きます。