卒業とお辞儀

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Nice!

子供たちの学校もようやく終わり、嵐のようなシーズンはあっという間に過ぎ去っていった。

特に今年は弟の方が小学校の卒業式だったこともあって、普段とは違ったエキサイティングな日々の連続でもあった。子供の興奮は親に伝わり、終わってみると妙に疲れているということはよくある。

卒業式の夜にはパーティなども企画されていて、小学生とはいえ親の立ち入り禁止でDJなどを呼んで盛り上がっていたようだ。

卒業式の式典自体は朝の10時から1時間ちょっとのものなのだが、一人一人舞台上に子供たちが登場した後は、何曲かの合唱に続き詩の朗読、先生や、学校関係者に対しての感謝メッセージと淡々とした調子で進んでゆく。

卒業前に生徒たちに配られていた小説の作者である女性がゲスト・スピーカーとして呼ばれており、その小説と絡めて卒業にまつわる話をしてくださったのだが、飾り気の無い暖かいお話でとても良かった。

自分の小学校う時代の忘れられない思い出を自作の小説にちりばめて書いた事など、親にとっても子供の成長と自分の思い出を重ねあわせることになり、ほろりとさせられてしまった親も多いのではないだろか。

僕はまだその小説を読んでいないのだが、息子によると自閉症の母親を持った子供の話で、フィクションなのだが、偶然ながら興味深い話に出会う。

式に備えて買った真っ白なシャツに、すこし短く結びすぎてしまったベンのお下がりの青いネクタイをつけた弟は、名前を呼ばれると立ち上がれば良いだけなのに、わざわざ日本式のお辞儀をしていた。