まず淡々と引用します。
平成19年3月28日
京都市予防接種協力医療機関 各位
京都市保健福祉局長
予防接種の接種間隔について
ジフテリア、百日せき及び破傷風の第1期の予防接種の初回接種については、「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンを3週間から8週間までの間隔をおいて3回皮下に注射する」ことが予防接種実施規則で定められています。
したがって、3週間未満又は8週間までの間隔を越えての接種については、予防接種法に基づく定期の予防接種ではなく、任意の予防接種となります。
同様に、日本脳炎の第1期の予防接種の初回接種についても、「日本脳炎ワクチンを1週間から4週間までの間隔をおいて2回皮下に注射する」ことが予防接種実施規則で定められています。1週間未満又は4週間までの間隔を越えての接種については、任意の予防接種となります。
これらの任意の予防接種の場合、健康被害が発生しても、国の健康被害救済制度の対象とはなりません。独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済制度(医薬品副作用被害救済制度)を活用していただくこととなりますので、該当者があった場合には、保護者に対してその旨を説明し同意をえたうえで接種を行ってください。
DPTを3週間未満の間隔で接種してくれと言われた経験はないんだけれど、つい風邪が長引いたり仕事が忙しかったりあれこれの事情で接種間隔が8週間を越えてしまうってことはよくある話だ。
この通達が言ってるのは2点。一点目は、DPTは8週間を越えたら有料だよということだ。ちなみに消費税込み4620円。2点目は、何らかの健康被害が生じても予防接種法による手厚い救済はしないよということ。普通の医薬品と同じ程度の救済だよということである。
京都市保健福祉局長ったって行政の素人じゃないんで、こんな通達を独自の方針で出してくるわけがなくって、これは中央の厚生労働省が予防接種をそんなふうにやりますよと考えてるってことなんだろう。
でもなあ。この方針のおかげでDPTの接種率は下がるんだろうなと思う。事前の問診でいきなり4620円だとか言われたら、財布に持ち合わせがないからと中止を余儀なくされる事態も生じるだろう。ふつう無料だと思って来ますからね。いやうちの病院はデビットカード使えますしってのは決して完全な対策じゃないよね。
あるいは、いま仕事が忙しいから初回接種の1回目をやっても2回目をうまいこと8週間でやれるかわからんしと、初回接種の開始そのものを見合わせるおうちなんかも、あるかもしれない。いや逆に、いま行かないと実費になるんですとか言ったら、予防接種に行くための休みをとるのに説得力が増すのかもしれない。動機づけとしてマイナスばかりには働かないかもしれない。どう転ぶかな。
健康被害が生じても救済しませんってのはまた何とも。救済制度から外すことに医学的な理由がなにかあるんだろうか。経済的な理由ならたくさんあるんだろうけれどもさ。言うとおりにワクチンを打たない悪い子は痛い目にあっても知らないよとお上は仰るのだろう。世の中そんないい子ばかりではないんだけどな。いい子だけを相手にしてるんでは公衆衛生なんて成り立ちはしないと思うのだが。
やれやれ今後のワクチン外来が気鬱でいけないや。