さて、建売住宅、中古住宅、どちらも希望に近い条件の家が見つからず途方にくれていたところ、実は注文住宅であっても業者選び次第では建売と同等もしくは建売+αくらいの金額で家が建てられる(かもしれない)、ということが分かり、にわかに「注文住宅の研究」、そして家探しならぬ「土地探し」が始まりました。もちろん、建売や中古住宅探しも続けていたのですが(もし希望に合うものがあれば、間違いなく注文住宅よりも安く済むわけですから)、このときからはそれに加えて、「土地+注文住宅」という選択肢に手を広げて探し始めた、ということになります。でも、建売の場合と比べて、土地+注文住宅で家探しをするのは、難易度が飛躍的に上がります。まず、ただの「地面」として売られている土地を見て、そこにどんな家が建てられるのかが分かる、そういう知識をちゃんと持っていることが求められます。それがひいては、「その土地の価値がちゃんとわかる」ということにもつながるわけです。建売りの場合、土地には既に「ちゃんと各種法令をクリアした家」が建っており、買う側はその家をみて、希望に合っているかどうかを評価して買うかどうかを決めれば終わりです。建売りの家を買った後で「思ったような家が手に入らなかった」ということはありえません。住んでみたらちょっと違った、ということはあるかもしれませんが、例えばそもそも「4LDKでカースペース2台つきの家を買ったつもりだったのに、買ってみたら実は3LDKでカースペースは1台分しかなかった」なんていうことはないわけです。ところが土地から始める場合は、全然状況が違います。各種法令の制約や構造上の問題等により、素人が土地だけを見て最初に「こういう家をこんな風に建てたい」と思ったような家が建たないことはザラにあります。というより、(これは我が家の場合でもそうでしたが)土地から始める場合は、当初イメージしていたとおりの、完全に想定のままの家が建つことは、まずないと考えたほうがいいかもしれません。ですから、逆の言い方をすると、「どんな家を建てたいか」というイメージを強く持ち、そのなかで優先順位も決めておくことがとても重要で、実際に土地を選び、建築業者を選び、図面を引いて、家を建てていくプロセスのなかで、絶対に譲れないポイントについては時間やコストが余計にかかっても妥協せず、それほどでもないポイントについては諦めたり代替的な選択肢を選び直すなど、柔軟な対応をすることが求められるわけです。そのうえで、土地の用途地域、建ぺい率、容積率、斜線規制、高さ規制といった建築基準法関連の土地規制について勉強し、「この土地にはこの間取りの家が建てられる」ということを自分で判断できるようになることも、間取りやコストにこだわった土地探し、家造りを実現するためには不可欠だろうと思います。私も、「土地から探す」という選択肢を検討し始めて、不動産業者から土地を実際にいくつか見せてもらったところで勉強不足を痛感し、法令や建築についての勉強を始めると同時に、「我が家にとって必要なのは、どんな土地なんだろう?」ということをじっくりと考え始めました。