渡。私は映画を作らないといけない。で、映画スターになってもらいたいんだけど...。そう、ディズニーのお姫様と同じだよ。映画に渡が主役で出るんだ。
お姫様という言葉に弱い渡。もう目を輝かせて、二つ返事です。大丈夫か???
僕は映画スター。
と自慢げ。けど、いいのか?騙しているような気もする私。
香穂いわく、
大丈夫。だってこの映画、音声は入れてはいけないので、渡は好都合。それに渡は結構やるよ。みんなが気がついていないだけだよ。
ということで、さて撮影。
数日に渡って撮影したのですが、これはすごく疲れる。
カメラがどこから回るのか?どこから笑えばいいのか?そういう察しがつかないので、まだ笑わなくてもいいのに、笑顔を長く作って顔の筋肉がつりそうになったり。香穂から
私が「アクション」っていったら笑うんだよ。
と言われても、なんだか緊張して早めに笑ってしまうし。山登りのシーンがあったりもしたので、大変でした。俳優さんが体力勝負というのがよくわかりました。
渡は、香穂の指摘通り、結構上手い。驚いた。私は香穂に注意されても、どうしてもカメラのレンズを見てしまうのだけど、渡はそういう事はいっさいしない。さらにどういうシーンをとるか?というのをお姉ちゃんから説明をうけて、下書きの絵(台本みたいな感じ)で示されているので、撮影が終わったシーンは自分でチェックをいれて消して行っています。
どんどん出来上がりがわかるので嬉々としています。けど、その日の撮影が終わるとぐったりという感じでした。
全撮影が終わり、お姉ちゃんが編集したものをみせてもらって、大満足の渡。
さて提出日が今日でした。
クラスみんなで映画を見て、評価をします。お友達で「映画監督志望」で映画作成学部の子の映画はマジですごかったり。泣けるような映画を作る生徒もいたり。香穂は見ながら、泣いたり笑ったりで大変だったそう。映画監督志望の生徒の映画は学校での大会出場が決定。こういう大会に企業の人がきて見たりして人材を探すそうです。香穂はその生徒と仲良しだったため、我が事のように
「よかったねー!よかったね!!」
と言って2人で喜んでいたそう。
香穂の番もやって来て、香穂が見せたら、みんなが「かわいいね。この映画。」とか言ってくれて、先生もすごく褒めてくれたそうです。なんと、香穂の映画も大会出場が決定。このクラスからは、この2本が大会にでるそうです。
香穂によかったね。と言っていると香穂も喜んでいましたが、
私はこの実写を作るこの授業が、今、取ってる中では一番苦手だった。私が実写の映画の道に進む事はまずないので、褒められてみんなに認められたのは嬉しい。大会は嬉しいのだけど、なんか、ちょっと微妙。
けど、お友達が選ばれたのは、本当によかった。誰よりも頑張っていたし。どんどん大会でも残ってほしい。あと、渡にさ、ムービースターだよ、って言っちゃったからさ。ちょっと心が痛かったのだけど、これで上映されるから、ほっとした。渡に言った事が本当になったから、よかったよ。あと成績もこれで悪いということは、ほぼないので、いい成績で突破できると思うよ。よかった。友達が賞をとれればいいなー。彼女と私のは本当に違うんだよ。むちゃくちゃ上手い。見せてあげたいくらいだよ。
大会出場手続きの為に、いつもよりはるかに遅くに帰って来た香穂。
渡にも大会にでることを香穂から説明したら、彼も理解してちょっと驚いていました。
そんなこんなで子供2人のファナルは、渡はお姉ちゃんに数学の王様のバッチを作ってもらって乗り切り、香穂も渡に映画に出てもらってファイナルの一教科を乗り切り。姉弟、力を合わせて乗り切っているファイナル週間です。香穂は、泣いても笑ってもあと3日で今学期が終わり。がんばってね!!