ホワイトボードでコミュニケーション(2)

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Nice!

今回のシリーズ記事(というほど長くはならない予定ですが(笑))では、我が家でのホワイトボードを活用したコミュニケーション療育について書いています。前回の記事と一部かぶりますが、我が家でホワイトボードを療育のために導入したきっかけについて、改めて書いておきたいと思います。きっかけは、夕食のときに娘がパニックすることが増えてきたことでした。それまでおとなしくしていたのに、夕食をテーブルに並べ始めると、急に怒り出すのです。何が原因なんだろう、と、いろいろ仮説を立てて試行錯誤していくうちに、どうやら、夕食で出てきたメニューが「期待していたのと違う」ことが、パニックの原因らしいということが分かってきました。そこで、学校の給食でも実施されているように、「今日のごはんは何が出てくるか」を事前に提示することにしたわけです。ただ、夕食のメニューは種類が多く、また新商品が出てそれを試しに買ってみたりすることも多いので、あらゆるものを絵カードで用意しておくことは困難でした。また、仮に用意しておけたとしても、絵カードの「写真」はあまりに一意に内容を示してしまうために、メーカー違いや盛り付け違いなど、絵カードとの「違い」でまたパニックを誘発してしまうんじゃないかという心配もありました。そこで、絵カードではなく、ホワイトボードを使うことにしたのです。これは、予想以上にうまくいきました。ラフなイラストとひらがなの文字だけしか書かれていないにも関わらず、娘はちゃんとそれを読んで、夕食の献立が何であるかを理解してくれました。つまり、ホワイトボードを最初に導入したときの理由は「絵カードよりも柔軟に、多種多様な(かつ新しいものも出てくる)アイテムを提示するため」だったわけです。ところが、興味深いことに、実際にホワイトボードを使い始めると、娘が新しい手順にこだわり始めました。それは、「表示されているアイテム(手順)が終わったら、それを消す」という手順です。我が家の夕食では、食事が終わり、いったん食器を流しに持っていって、それらを食洗機にセットしたあとで、改めて「食後のくだもの」を食べる、という流れがあります。その、食器を流しに持っていったところで、娘が、ホワイトボードのなかで、「くだもの」より上に書いてある夕食のメニューを消してくれとせがむようになりました。そして(当然)、くだものを食べ終わったら、こんどは「くだもの」も消してくれといってくるわけです。これによって、このホワイトボードは、新たな意味を持つようになりました。つまり、単に「夕食のメニューが書いてある」だけではなく、「夕食のメニューが書いてある」うえに、「その夕食がどこまで進んだのか(あと何が残っているのか)が分かる」、という、新たな機能を持つようになったわけです。実は、この「新たな機能」が、ホワイトボードによる療育を大きく広げていく次の契機になっていきました。(次回に続きます。)