写真を利用したアスペルガー的片付け策

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Nice!

アスペルガー症候群のなかには、部屋の片づけが苦手な人もいるのではないだろうか。先日も夫の雷が落ちた。散らかる部屋に、一月に一度くらいの頻度で夫がぶち切れる。私と夫のどちらの精神にもよくないので、苦手な片付けを何とかしたかった。散らかった部屋にいつものように怒った夫の指示のもと、粛々と部屋の片づけをしていたところ、ふと思いついた。片づけが苦手な特性は、私個人の怠惰の問題でなく、アスペルガー症候群の問題として考えた方がよいのではないかと。夫は片付けが苦手な私の特性をアスペルガー症候群と結びつけて考えなかったようだが、私は「関係がある」と主張した。片付けにおいてアスペルガー症候群の特性故に私が躓いているポイントを、私なりに考えた。アスペルガー症候群は「見えないものはない」の性質で動いている。作業中の物事はすぐ目につく形で置いておかなければ、作業すべき事柄を忘れてしまう。例えば処理すべき書類などを机のなかにしまったりすると、処理すべき書類の存在を忘れてしまうから、処理が終わるまで机の上に出しておく。作業中の物事の存在を短期記憶に留めておけないから、作業中の物事を全て目に見えるところに置きたがる性質があるのだ。すぐ処理できる書類ならよいのだが、処理に時間が掛かることが分かっている書類は、つい溜めてしまい、自然、机の上が散らかり気味になる。もちろん処理を溜め込まず一つ一つ地道に作業していければ、問題は解決する。しかし私の場合は、気が付くと部屋のあちこちが散らかり、何をすべきなのか分からなくなっていることが多い。同時並行処理ができない脳(参考)を持つことも、部屋の散らかりに拍車を掛けていると思う。当面やるべきことに脳が支配されると、「片付け」に意識の焦点が合わない。例えば私が普通に日常生活を送っていると、注意の向かう先が「食事作り→食器洗い→メールチェック→ネット→食事作り→……」という具合になり、部屋の散らかり具合に意識が向かう瞬間がなかった。定型発達者であれば、自然と作業の合間合間に「片付け」に注意が向かうのだろう。アスペルガー症候群の私の場合は、自然にしていたら「片付け」に注意が向かわない。意識の焦点下にある一つの作業に熱中して、「間」を忘れるのだ。散らかっても気付かないから、散らかす一方になってしまっていた。つまり、・何を片付けてよいか分からないこと・片付けに意識が向かう瞬間がないことをアスペルガー症候群故の問題として対処すればよいのだと考え、対策を練った。1. まず夫(定型発達者)に部屋を片付けてもらう 効果的に片付けるためには、散らかす本人の日常生活を熟知しており、散らかす本人が片付けるべき物事の優先順位を汲み取れる人間の助けを借りる必要がある。 身近に片付けの得意な人がいなければ、ヘルパーにお願いするのがいいだろう。2. 私(アスペルガー症候群)の散らかすポイントについて、夫が綺麗に片付けた状態の写真を撮る 私が日常生活で片付けるためには、片付け見本が必要だと思い、写真を撮った。 始めは私本人が写真を撮ったのだが、私がカメラのフレームに収めると、片づけのポイントが分かりづらい写真になってしまったらしいので、夫(定型発達者)の視点で写真を撮る必要があった。3. 片付け見本になる写真を印刷して常に手元に置き、視覚的に比べる 数枚の写真が入る小さなフォトアルバムを購入し、常に机の上に置いておくようにした。 片付け見本を目に入りやすい場所に常に置いておくことで、散らかり具合を意識する機会が出来て、さほど散らからなくなった。 これまで片付けには悩まされてきたが、このやり方はうまくいくような気がする。散らかった部屋という「(私の目に)見えなかったもの」を、写真という形で「(私の目に)見えるもの」にしたことが、とても効果的であるように思う。